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ダルビッシュ有36歳が惜しみなく後輩にアドバイスするワケ「みんなで共有した方が…」MLBで進化した最速158kmの“変化球の達人”が見せる生き様 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byHideki Sugiyama

posted2023/02/23 17:02

ダルビッシュ有36歳が惜しみなく後輩にアドバイスするワケ「みんなで共有した方が…」MLBで進化した最速158kmの“変化球の達人”が見せる生き様<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

後輩投手の今永昇太に言葉をかけるダルビッシュ。これまでの代表で若手に聞かれる立場だった今永もダルビッシュの指導を仰いだ

 特に、変化球への探究心は旺盛で、チームメートから助言を受けるたびに試投し、すぐに試合で試してきた。その結果、時速150キロ台後半の速球だけでなく、変化球は10種類以上のバリエーションを操るレベルに達した。かつては剛球のイメージだったが、今やメジャーでは「時速98マイル(約158キロ)の速球を投げる変化球の達人」と言われるほど、完成度の高い“マジシャン”として知られるようになった。

MLBでもダルビッシュほどの頭脳派投手はいない

 傑出しているのは、多彩な変化球やトレーニングだけではない。昨季からは、捕手に頼ることなく、自らすべての配球を組み立てることを始めた。細かいデータ分析が浸透しているメジャーでも、ダルビッシュほどの頭脳派投手はいない。パドレスでも最年長先発となった36歳の昨季、開幕投手を務め、自己最多タイの16勝を挙げたのも、体力面の充実だけが理由ではない。

「(これまでは)チームが作っているスカウティングリポート、ゲームプランを見て、試合に入っていたんですけど、自分でゲームプランを作ろうと思って……。ホント全部です。カウント0―0から2ストライク追い込むまでです。マイナーリーグの試合も見て、全部把握するようになりました。常にiPadを持って、気になったらすぐに見て、という感じです」

ダルビッシュが過去、口にしていた日本球界の問題点

 人一倍の向上心と、たゆまぬ研究心で、ダルビッシュは昨季まで日米両国で188個の白星を積み重ねてきた。ただ、自分1人の力だけで現在地にたどり着いたという思考はない。高校時代の恩師、日本ハムをはじめ、メジャー各球団で支え続けてくれた周囲への感謝を忘れたことはない。だからこそ、今後の球界を背負っていく後輩へ技術や情報を伝えることは、責任でも使命でもなく、自然なことだった。

 数年前、ダルビッシュがやや語気を強めて言った言葉を思い出す。

【次ページ】 ダルビッシュの生き様

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