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ダルビッシュ有36歳が惜しみなく後輩にアドバイスするワケ「みんなで共有した方が…」MLBで進化した最速158kmの“変化球の達人”が見せる生き様
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/02/23 17:02
後輩投手の今永昇太に言葉をかけるダルビッシュ。これまでの代表で若手に聞かれる立場だった今永もダルビッシュの指導を仰いだ
「すごく楽しみにしていますし、日本の若い選手たちもそうですし、米国、パドレスでいろいろ教えて頂いていることを日本の選手たちとシェアできることを楽しみにしています」
他人に流されることなく、貫いた自分の生き方
単身帰国後は、メジャーリーガーらしくプライベートジェットで宮崎へ移動した。到着後には、岡本和真、大勢ら巨人勢を食事に誘うだけでなく、すぐに合同練習を始めた。合宿がスタートすると、初日からロッテ佐々木朗希らにスライダーの握りをレクチャーするなど、帰国前に話していた通り、日米通算18年間で培った技術と知識を惜しげもなく、ストレートに伝え始めた。
プロ入り直後、一時は「やんちゃ」と表現されたダルビッシュは、年を重ねるたびに、心身ともに成長してきた。早い時期からサプリメント摂取を始め、最新の筋力トレーニング方法などの研究を重ねた。いずれも当時は、近年のように浸透しておらず、周囲からは反対意見も多かった。それでも、他人に流されることなく、自分の生き方を変えようとしなかった。
完成度の高い“マジシャン”
だからといって、自らの「ものさし」だけに固執することはない。過去の常識や先入観に疑問があれば、変化を恐れることなく、柔軟な思考で進化を続けてきた。SNS上では専門家だけでなく、一般のファンとも情報を交換し、耳を傾けてきた。たとえ、意見の相違や誤解があっても、丁寧に言葉をつなぐことで、いつしか球界屈指の発信力を持つ存在となった。