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清宮海斗の“顔面蹴撃”にオカダ・カズチカがブチ切れて…乱入、ボイコットを経たノア対新日本の“遺恨試合”はどんな結末を迎えるのか
posted2023/02/18 17:23
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
何かと遺恨試合めいてきた新日本プロレスのオカダ・カズチカとノアの清宮海斗のシングルマッチだが、2月21日の東京ドーム大会で予定通り行われるだろう。
この日は武藤敬司の引退試合だが、もうひとつ別の意味を持った注目カードだ。
前田日明の“顔面蹴撃”を想起させるハプニング
ことの発端は1月21日の新日本プロレス横浜アリーナ大会。タッグマッチのカットプレーのシーンで、清宮のキックがオカダの額に当たった。
たまたま、その前日に筆者は前田日明に会っていた。昔話の折、長州力への“顔面蹴撃”の話も少し出たが、前田は「当たり所の違いでどうってことない」という感じだった。「猪木さんには顔面にぶち込もうとしたけれど、うまくよけられた」とも笑っていた。
そんな話をした後だから、余計に「あれっ」と思った。
額に血をにじませたオカダは、コーナーに戻った清宮に突進すると、場外で頭突きを食らわし、マウントパンチ。このまま清宮をKOしていれば、1年前に「泣いてんじゃねえ。さっさと帰れ!」と一喝して格の違いを見せつけたとき以上のインパクトを残せただろう。
だが、26歳の清宮は現在ではノアの看板を背負うGHCヘビー級王者だ。まだ、清宮に足りないものを感じるのは致し方ないが、壁にぶち当たっていた時期を抜け出して、力をつけてきた。清宮はオカダに向かっていった。
場外でオカダの顔面に飛び蹴りを見舞い、ジャーマンスープレックスまでやってのけた。その後の収拾のつかない乱闘は「ノーコンテスト(無効試合)」という最近ではほとんど耳にしない裁定になった。
オカダは「終わり。やらない」と言ったが、ノアは翌日、東京ドーム大会のカードとしてオカダvs.清宮を発表した。
他団体といえ、チケットは売ってしまっている。武藤敬司vs.内藤哲也がメインイベントだから、オカダが出なくても「金返せ」とはならないだろうが、ひんしゅくを買うのは間違いない。
清宮戦について「やらない、やらない」と繰り返していたオカダは2月11日、大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)で鷹木信悟を倒してIWGP世界ヘビー級王座の初防衛に成功した。