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競馬PRESSBACK NUMBER
「調教師に男女の差はある?」30歳でジョッキーから調教師へ転身、平山真希42歳に聞いた“性差”「男女は関係ないんじゃないかな」「逆に男性が多い分…」
text by
大恵陽子Yoko Oe
photograph byKeiji Ishikawa
posted2023/02/15 17:06
2011年に騎手から調教師となった平山真希さん。騎手引退までと調教師になってからの経験について話を聞いた(全2回のうちの第2回)
平山 性格が難しくて馬場を1周できなくて、競馬を引退して乗馬にしようと去勢した 馬がいたんですけど、「やっぱり諦めきれない。一度やってみてくれ」と厩舎に連れて来られた馬がいました。でもその馬を連れてきた人の顔が青あざだらけで「どうしたの?」って聞いたら、「速く走らせようとしたらビタッと止まられてケガをした」と。実際に調教に乗ってみると、朝は他に馬がたくさんいてイレ込んじゃうので午後に馬場をゆっくり1周するなど、とにかくグルグル回して走らせていたら、そのうち朝でも走れるようになって、レースに向けた追い切りもできるようになりました。
異例の午後調教
――競走馬の調教は99.9%が朝。午後に調教に乗るって初めて聞きました。その時間帯は通常は休憩したり、馬の手入れをするものなので、かなり手を掛けていたことが分かります。
平山 どの馬もたぶんそうだと思うんですけど、時間をかけてあげればちゃんと走れるようになるんだな、と感じました。アテネオリンピックの時期で、レッツゴーアテネという馬名だったこともあって忘れられません。レースでも私が乗って惜しい2着。その後、調教師が欲を出して上位騎手に乗せ替えたら馬が逆らっちゃってダメで、馬主さんが「姉ちゃんでいいんだよ」と言ってくださいました。
――頑張りが評価されたようで嬉しいですね。
平山 はい、レッツゴーアテネと勝つこともできました。その後、JRAに移籍して障害レースを勝って、中山大障害にも出走したんです。
――なんと! “ジャンプレースの有馬記念”のような大一番じゃないですか。
平山 途中で落馬しちゃって完走はできなかったんですけど、出るだけでもすごいですよね。大出世してビックリです。馬場で調教ができるようになったから、元々競走馬デビューを目指していたJRAに戻れましたし、とても印象深い馬です。
私の努力不足もあったかもしれないですけど…
――一方で、騎乗馬は年々減っていきました。競馬では新人騎手に負担重量の軽減措置があり、男性は3kg減からデビューし、勝利数に応じて段階的になくなって、最終的には101勝を挙げるかデビュー5年で消滅。女性は4kg減からデビューし、勝利数にかかわらずデビュー5年以降も永年2kg減で騎乗できます。しかし、平山さんが騎手の頃は男女同じルールに加え、浦和競馬では50勝を挙げるかデビュー3年までしか減量特典がありませんでした。減量がなくなって、取り巻く環境に変化はありましたか?