平山　男女の差というより、所属厩舎がもうちょっとレースに乗せてくれたら、など環境については感じることはありました。減量がなくなった時点で結果が全然出なくて、1日1頭乗れればいい方になってしまいました。私の努力不足もあったかもしれないですけど、たくさんレースに乗らないと勝てないわけで、その数を揃えようにもなかなかお声がかからなくなっていきました。

――男女差ではなく環境の差、ということですが、現在は女性騎手は負担重量が4kg軽い状態でデビューし、勝利やデビュー年数を重ねても永年2kg減で騎乗できます。4kg減があったら乗りたいですか？

平山　今はもう乗れないです。昔は体重が軽くて鞍に鉛を入れていましたけど、みんなお腹についちゃった（笑）。調教に乗るのは昔から好きなんですけど、レースはゲートに入るまでがすごくドキドキしてしまっている自分がいました。ゲートの中で馬が立ち上がったり潜ったり、何かやられるのが怖いんでしょうね。そういう風に思うようになったらダメだな、と思いました。

ゲートの中で「怖さ」を感じたのも引退を考えるきっかけになったという　©Keiji Ishikawa

このまま馬から離れるのは嫌でした

――そうして徐々に次のキャリアを考えるようになったんですね。

平山　自分の体重が軽くて、負担重量になるように騎乗馬がパドックで重りを背負わされていて、それも自分が馬を苦しめてしまっていて嫌だなという思いもあったんです。でも、このまま馬から離れるのは嫌でした。そこで、厩務員になるという選択肢もあったんですけど、自分が働いているイメージが湧く厩舎がなくて（笑）。それなら自分でやりたいと思って、調教師の試験を受けることを決めました。

――受験資格の28歳になるとすぐに受験し、3度目で合格。厩舎を開業するまで数カ月の期間がありましたが、その間はどんなことをしていたんですか？

平山　ただ「調教師になりたい」というだけでノープランだったので、慌てて知り合いのツテを頼って北海道の牧場に挨拶に行って預託していただける馬を集めました。騎手デビューの頃から面倒を見ていただいている馬主さんにも馬を預けていただいて、平山厩舎の初出走初勝利で、しかも馬にとってはデビュー戦という話題でメディアにもたくさん取り上げてもらいました。インターネットも活用して、ブログやFacebookを通じて全く知らない方から「馬を預かってください」と言っていただけることも結構あります。調教師になった頃は全国各地で競馬場が経営難で潰れていくような苦しい時代でしたが、こうして結果を評価して預けていただける馬主さんがいてありがたいです。

馬に携わる人は勝ち気な性格の人が多いかな

――厩舎にはベテランの厩務員が多いと聞きますが、どんな声をかけられますか？

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