平山　スタッフからは教えてもらうことの方が多くて、色んなことを聞くようにしています。たとえば、蹄が熱を持つと、味噌を塗って人間用の伸び伸びの靴下を履かせるといいよ、とか。馬用の湿布のような冷却材は固まってしまうんですけど、味噌だと固まらずに熱を取ってくれます。靴下は湿気を適度に抜きながら保湿してくれて、挫跖（後脚で前脚の蹄を蹴ったり、石などの硬い物を踏んでできる内出血）したばかりのときにこれをすると2～3日で治ったりします。そういった知識が全然違うので、吸収しています。

――おばあちゃんの知恵袋のような感じですね。女性の厩務員もいるんですよね。

平山　いまベテランの女性が1名います。その人に限らず、馬に携わる人は勝ち気な性格の人が多いかなと感じます。男の人がタジタジしちゃうくらい気が勝っている人じゃないと、馬の仕事はできない気がします。

調教師でも男女の差はある？

――ちなみに、調教師でも男女の差はあるのでしょうか？

平山　調教師は騎手と違って性差はあまりないように感じます。もし自分で調教に乗れなかったとしても指示を出したりして厩舎運営をできるのが調教師です。逆に、男性が多い分、女性が間に入ることで上手く回しやすい面もあるかもしれません。

張田昂騎手とやりとりをする平山調教師　©Keiji Ishikawa

――騎手時代のように馬主から「女性の調教師はちょっと……」と言われるようなことは？

平山　男女は関係ないんじゃないかなと思います。結果が出ているので、預けてもらえる機会が多くなったのかな、と感じます。

「もっとお金を使え」と言われるくらい（笑）

――男女関係なく、結果を見て評価していただけているんですね。調教師は経営者という一面もあります。社長としての日々はどうですか？

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