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「WBCで“右の柳田”が見られる!」ソフトバンク戦力外→中国代表にファン歓喜…真砂勇介はなぜ愛される? 本塁打通算3本も“国際大会MVP”の実績 

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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posted2023/02/09 06:00

「WBCで“右の柳田”が見られる!」ソフトバンク戦力外→中国代表にファン歓喜…真砂勇介はなぜ愛される? 本塁打通算3本も“国際大会MVP”の実績<Number Web> photograph by JIJI PRESS

昨季限りでソフトバンクを退団した右打ち外野手の真砂勇介。今回のWBC中国代表に選出された

 この時、若侍を率いた斎藤雅樹監督(当時、巨人二軍監督との兼任)から「中心としてやってもらわないといけない選手」と大きな期待を寄せられ、大会の全9試合で4番打者を張った。するとスーパーラウンドの韓国戦では七回裏に同点本塁打を左翼席最上段へ叩き込み、決勝のオーストラリア戦でも大会4本目となるアーチ。真砂の活躍で侍ジャパンU-23代表は初代王者に輝き、真砂は大会ベストナイン選出に加えて世界大会でのMVPに選ばれたのだった。

 当然、ファンの期待値は急上昇したが、レギュラーどころか一軍定着すら果たせなかった。ソフトバンクの外野陣は今も昔も強力である。6、7年前のチーム事情を思い返すと、柳田悠岐が不動のセンターで中村晃がレフトで常時出ていたはずだ。残るライトを守ったのは真砂の1学年下である上林誠知。ほぼ同年代のホープが出現したことで、真砂にはチャンスがなかなか巡ってこなかった。

 それでも、ファンからは「期待を裏切られた」「ガッカリした」という反応はあまり聞かれなかった。それよりも「タイミングが悪かった」「長谷川勇也でさえスタメンで出られないのだから」「出場機会さえあれば、必ず結果で応えてくれるはずだ」と、真砂を応援し続けた。

 二軍では及第点の成績を安定して残し続け、19年にはウエスタン・リーグ盗塁王を獲得したりもした。

 すると20年、プロ8年目のシーズンになってようやく一軍出場機会が増えだした。翌21年には自己最多の79試合に出場している。

お立ち台で“不評”も…「期待しててくれたなんて」

 同年4月29日、PayPayドームでの日本ハム戦ではライトへ流し打つホームランを放った。これが勝利を決定づける貴重な一発となりお立ち台へ。マイクを握った真砂はインタビュアーに締めの挨拶を求められるとしどろもどろになった。瞬間的にこの日の試合イベントだった「どんたく博多デー」にヒントを得て、大きな声で「1、2、3、わっしょーい」とお祭りムードで盛り上げ役を演じたのだが、意外にもファンからは不満というか寂しさの声が上がり、それは真砂の耳にも届いた。

「なんで『マッサゴー、ゴー、ゴー!』をやってくれなかったんですかって、いろんな人に言われちゃいました」

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