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ダルビッシュも制球に苦しんだ? WBC国際球への違和感の正体…対応するために必要なもの「カーブは全然ダメ…使えない球種がある」
posted2023/02/08 17:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Naoya Sanuki
Number726号(2009年4月2日発売)に掲載された「[国際球への違和感の正体]ダルビッシュが制球に苦しんだ理由」を特別に無料公開します。
韓国との決勝戦。連覇の陰で9回に起こったドラマを記憶しているファンも多いはずだ。
1点差でマウンドに立ったダルビッシュ有の制球が定まらない。1死から3番・キム・ヒョンスにはストレートの四球。4番のキム・テギュンにもスライダーが決まらず連続四球を与えてしまった。そしてチュ・シンスが三振の2死から、6番のイ・ボムホに今度は甘く入ったスライダーを三遊間に運ばれて試合は振り出しに戻された。
この大会ではダルビッシュが制球に苦しむ場面が多く見られた。
ダルビッシュの制球を狂わせた原因とは?
特に苦しんだのがシーズン中には大きな武器となったフォークとカーブがすっぽ抜けてほとんど使えなかった点とスライダーの曲がり幅が大きく、曲がりすぎてボールゾーンに行ってしまうことだった。第2ラウンドの韓国戦で先発したときも、立ち上がりに制御が利かず、先頭打者のイ・ヨンギュにボールを連発。いきなり0-3とカウントを不利にした上で、ストライクを取りにいった真っ直ぐを痛打された。その後もスライダーでストライクが取れないのを見透かされたようにストレートを狙い打たれて、いきなり3点の先取点を許してしまった。
2008年のシーズンでは1試合で2.38与四死球と、制球力には定評のあるダルビッシュが、今回のWBCでは13回を投げて6与四球。1試合平均で4.15与四死球と2倍近くに数字は跳ね上がってしまう。
この乱れの原因はいったい何だったのか?
日米の球場のマウンドの違いや気候の変化など様々な要素がからんだ結果だが、中でも見逃せないのは、やはりボールの違いだった。昨年の北京五輪も含め、これまで国際大会が開催されるたびに投手陣の課題として挙げられてきた国際球への対応は、WBCでも再び課題を残すことになった。