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「えっ? なぜ相撲をやめるの?」大学1年でアマ横綱…相撲界で“無敵の21歳”(体重130kg)が驚きの決断「大谷翔平や大坂なおみを目指したい」
text by
一野洋Hiroshi Ichino
photograph byKYODO
posted2023/02/07 11:01
日体大1年のときにアマチュア横綱に輝いた花田秀虎(写真は高校相撲で2連覇達成の高3時)。彼の“新たな挑戦”が話題になっている
日本選抜の練習では、梶原選手の下へ自ら話を聞きにいきタックルの方法を教えてもらうなど、本人も貪欲にアメフトのテクニックを吸収していた。
それでも日本選抜の練習では日本トップクラスのオフェンスラインを相手に、簡単に突破することができず歯がゆい思いをした。
「相撲は個の力で勝つことに重きを置いていますが、アメフトは作戦があって、周囲との連携があり、絶対にミスができません。柔軟な対応をしないといけないところで迷って、自分が持っている本来の力を出せていないことが課題です。フットボールに慣れて100%自分の力を出すことができれば、もっともっとアグレッシブにいけると思います。やりきれないのがすごく悔しいです」
一方で、手ごたえを感じた部分もあったという。
「フィジカル面は自信を持てました。アメリカ人との対戦でも、フィジカルでは絶対に負けていない、パスラッシュやスピードは絶対に負けない自信があります」
分からないことがあれば諸先輩にもどんどん教えを請う。この柔軟な姿勢も手伝って、日本選抜の練習中でも、周囲が唸るほどの成長を遂げていた。時折見せる低い姿勢から繰り出されるスピード感あふれる強烈なタックルには、彼の才能の片りんが垣間見えた。
◆◆◆
アメリカ4大スポーツの中で、NFLだけが日本人未踏の地である。
全米だけでなく全世界から人並外れたアスリートが集まるリーグでは、圧倒的なフィジカルはもちろん、様々なコミュニケーション能力も不可欠だ。もし日本人がNFLでプレーすることになれば、歴史的偉業ということになる。
花田自身もパイオニアを目指す覚悟は十分だ。
「(もしNFL入りができれば)大谷翔平選手や大坂なおみ選手くらいの快挙だと思います。とにかくそこを目指して、自分がどれだけできるか挑戦したいですね」
将来的には大相撲の最高位である横綱とアメフトの世界最高峰であるNFLの“二刀流”も目指すという。とはいえ、まず当面の目標はNFLを目指すこと。強靭なフィジカルとスマートな頭脳を兼備する21歳は、未踏の荒野をどこまで進んでいけるだろうか?
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。