Number ExBACK NUMBER
「えっ? なぜ相撲をやめるの?」大学1年でアマ横綱…相撲界で“無敵の21歳”(体重130kg)が驚きの決断「大谷翔平や大坂なおみを目指したい」
text by
一野洋Hiroshi Ichino
photograph byKYODO
posted2023/02/07 11:01
日体大1年のときにアマチュア横綱に輝いた花田秀虎(写真は高校相撲で2連覇達成の高3時)。彼の“新たな挑戦”が話題になっている
日体大1年時には前述のように「アマチュア横綱」にも輝き、2022年のワールドゲームスでは相撲の重量級で1位に輝いた。もはやアマチュア相撲界では敵なしだったといっていい。そんな「相撲界の至宝」を角界も待ち焦がれていたことだろう。
だが、相撲に邁進してきた花田の電車道は、そこで急に横道に逸れることになる。
最初にNFLに興味を持ったのは中学生の時だった。
「ラインの攻防が格闘技に似ていて、身体能力の高い選手たちが戦っているのが格好いいと思って。その姿が好きで、ずっと見ていました」
もちろん最初は、大相撲で横綱になる青写真を描いていた。力士として活躍して経験を積み、もしチャンスがあればNFLへ――そんな構想もないではなかった。だが、このタイミングでアメフト挑戦を決めたのは、NFL挑戦をする上で「年齢」が大きなネックとなることを知ったからだ。
NFLに参入するには、米のチームからドラフト指名される以外にも様々な方法がある。NFLが主催する国際人材発掘プログラム(IPP)に招待してもらったり、隣国カナダのリーグやインドアフットボールのリーグで活躍することでスカウトされるケースもある。
だが、そこで大きな要素となってくるのが「年齢」の問題なのだ。
過去にも日本人選手が人材発掘プログラムやその選考会でトップクラスの結果を出したこともあった。それでも最終的にセレクトされることはなかった。その落選の大きな理由に「年齢」の要素があったのだという。
20代で他競技で活躍して、キャリアを積んでから……では、NFLという未踏の頂に到達するには、現実的に間に合わない。それを知ったからこそ、花田は20歳という若さで相撲のキャリアを捨て、NFL挑戦を決めた。
「例えば一昨年、照ノ富士関が29歳で横綱になっていますが、その年齢からNFLに行けるかと言われたら……僕は厳しいと思います。そういう考えもあって、まずはアメフトをやる……若くて、脂が乗っている時に自分がどれだけできるか挑戦したいと思いました」
「英会話のレッスンを受けています」
上述のようにNFLに参戦するためには様々なルートが存在する。国際人材発掘プログラム(IPP)は21歳から、参加が認められる。当該年齢に達した今年はトライすることを念頭に置く。またアメリカの大学へ編入して、本場のアメリカンフットボールを経験することも視野に入れているそうだ。