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エース張本智和に続く“男子卓球の顔”に? 全日本連覇の戸上隼輔(21歳)が冷静に分析する現在地「相手が中国人選手の時はまだ…」
posted2023/02/06 11:00
text by
高樹ミナMina Takagi
photograph by
JIJI PRESS
卓球界の新シーズンは今年も全日本選手権(1/23〜29、東京体育館)で幕を開けた。
優勝候補が林立する群雄割拠の女子に対し、男子は昨春から好調で世界ランキングも自己最高の2位(現在4位)まで上げた張本智和(19歳)が群を抜いていた。
しかし、その張本を決勝で下して優勝したのは前回王者の戸上隼輔(とがみ・しゅんすけ/21歳)だった。昨年の初優勝以降の1年間は思うように結果が出ず苦しい時期を過ごしたが、下馬評を覆す2連覇達成で男子シングルス王者に与えられる天皇杯を再び手にした。
この結果に一番驚いたのは、何を隠そう戸上本人である。
試合後の優勝インタビューではファンへのメッセージを求められ、尊敬してやまない故・アントニオ猪木氏の名文句「元気ですかー!」のパフォーマンスで会場を沸かせた。だが、そのあとの記者会見では神妙な面持ちに変わり、「優勝できると思っていなかったので正直実感はない。2連覇達成したのかなって、ちょっと疑心暗鬼な気持ち」とトーンは低かった。
1年前の優勝時は、「日本(の男子卓球)を背負っていく覚悟はできている。2024年(パリ五輪)まで戸上の色に染め上げたい」と豪語していたが、当時とだいぶ様子が違ったのは無理もない。日本一を手放しで喜べた昨年と違い、今年の全日本選手権はパリ五輪代表選考の対象大会に含まれ、選考レースの行方を意識せざるを得ないからだ。
パリ五輪選考レースで3位に浮上
パリ五輪の選考レースは全日本選手権を終え、張本がトータル229ポイントで首位を独走。今回、優勝の戸上は150ポイントで4番手から3番手に浮上した。2番手には張本と同じ大学1年生で全日本選手権3位の篠塚大登(しのづか・ひろと/19歳)が153ポイントで張本と戸上に割って入るなど、熾烈を極める。
ちなみに、卓球のパリ五輪代表選考は2024年1月開催予定の全日本選手権まで続き、最終的に1位と2位の選手がシングルス代表となる。さらに団体戦要員のもう1人はシングルス代表の2人とのダブルスのペアリングを考慮し選出される。混合ダブルスには男女代表メンバー6人の中からペアリングの良い1組が出場する。