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エース張本智和に続く“男子卓球の顔”に? 全日本連覇の戸上隼輔(21歳)が冷静に分析する現在地「相手が中国人選手の時はまだ…」
text by
高樹ミナMina Takagi
photograph byJIJI PRESS
posted2023/02/06 11:00
エース張本智和を撃破して全日本卓球・男子シングルス2連覇を達成した戸上隼輔(21歳)。中国勢の苦手意識を克服し、男子卓球の救世主になれるか
戸上も張本もバックハンドが得意で、とりわけ台上のボールに強烈な横回転をかけるチキータは大きな武器だ。そのため2人の対戦では特にレシーブで相手にチキータをさせないサーブ技術が鍵を握る。
今回の全日本選手権決勝では戸上がサーブで主導権を握ることに成功した。
効果的だったのは張本のフォア側に短く出すフォア前サーブと、バック側の深いところに送るロングサーブを織り交ぜた点だ。
戸上は長らく自分のサーブに課題を抱えパリ五輪選考会でも「思うようにサーブが出せない」と悩んでいたが、今回の張本対策は明確で、勝負どころでロングサーブを徹底。張本のレシーブを何度も崩してポイントを奪った。
「相手を分析し、相手が嫌がっている回転やコースを見極められた」と自身の成長に手応えを感じていた戸上。
さらに、普段の試合ではほとんど見られないYGサーブ(ヤング・ジェネレーションサーブ)を、第1ゲームを奪った後の第2ゲームに1本だけ出したシーンにも目を見張った。
これも相手のフォア前に出すチキータ封じの一環だが、驚いたのはそれが10-9のゲームポイントの場面だったことである。
海外武者修行で磨いた「意外性」
もともと戸上はYGサーブを得意としていない。にもかかわらず思い切って使ったのは世界選手権成都大会以降、ここぞという時に相手の読みを外す「意外性」のあるプレーをテーマに掲げてきたからだ。
昨年10月に単身ドイツへ渡り、国内選考会と並行して参戦する卓球プロリーグのブンデスリーガでも、世界中から集う強敵を相手に勇気を持ってこのYGサーブを試すことがあった。
果たして、少しぎこちない“隠し球”は、張本のレシーブから4球目がエッジボールとなり張本のポイントとなったが、パリ五輪の選考ポイントが得られる国内卓球リーグのTリーグではなく、あえて厳しい海外武者修行を選んだ戸上の挑戦の足跡が見えるプレーだった。