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エース張本智和に続く“男子卓球の顔”に? 全日本連覇の戸上隼輔(21歳)が冷静に分析する現在地「相手が中国人選手の時はまだ…」 

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高樹ミナ

高樹ミナMina Takagi

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posted2023/02/06 11:00

エース張本智和に続く“男子卓球の顔”に? 全日本連覇の戸上隼輔(21歳)が冷静に分析する現在地「相手が中国人選手の時はまだ…」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

エース張本智和を撃破して全日本卓球・男子シングルス2連覇を達成した戸上隼輔(21歳)。中国勢の苦手意識を克服し、男子卓球の救世主になれるか

 戸上と張本の過去の対戦は少なくない。全日本選手権でいえば3年前の準決勝。このときはゲームカウント3-1で戸上がリードを奪ったが、そこから怒とうの3ゲーム連取で張本が大逆転勝利に成功した。

 また直近だと昨年8月のTリーグ個人戦・ノジマカップ準々決勝で張本がフルゲームの末に勝利。逆に9月の全農CUP TOP32福岡大会では戸上がゲームカウント4-1で張本を下し優勝するなど、パリ五輪代表選考レースでも互角の勝負でしのぎを削ってきた。

 一方で意外なことに2人の海外ツアーでの対戦は一度もないが、国際大会での実績は遥かに張本が上だ。そのことは18歳の若さで東京五輪代表となり日本のエースとして団体銅メダルを獲得した偉業や海外ツアーでの優勝回数、そして現在の世界ランキング4位などを見れば明らかである。

 対する戸上は五輪の出場経験もなければ、海外ツアーでもシニアで優勝したのはダブルス種目だけ。世界ランキングも目下、48位にとどまる。

中国勢との対戦「頭が真っ白になった」

 “世界での実績”がより顕著に表れたのが、団体戦で銅メダルを勝ち取った昨秋の世界選手権成都大会(9/30〜10/9)だった。

 予選グループリーグから決勝トーナメントの準々決勝まで、戸上もエースの張本に次ぐ2番手として、自分よりも格上の海外勢を次々に破りチームの上位進出に大きく貢献した。ところが、決勝進出をかけた大一番。世界最強の中国との準決勝で戸上は張本との差を痛感することとなる。

 男子中国のエースで世界ランキング1位の樊振東と次期エースの呼び声高い王楚欽を張本が撃破した一方、戸上はその2人から1ゲームも奪えずストレート負け。デュースで競った惜しいゲームもあったが、張本に比べて「自分は大事な場面で余裕がなくなり頭が真っ白になって、中国戦ではなかなか1本が取れなかった」と肩を落とした。

 この苦い経験と悔しさは戸上の頭から離れない。

 パリ五輪でもメダル獲得には必ず中国が壁になる。戸上の脳裏に焼きついた対中国の意識は、「海外で勝てる選手がオリンピックで通用する選手」と語った全日本選手権の優勝会見の言葉にも滲み出ていた。

【次ページ】 海外武者修行で磨いた「意外性」

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