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三笘薫はなぜプレミアで無双できる? ブライトンと智将デゼルビに学ぶ“覚醒ミトマの生かし方”〈東大監督+気鋭の解説者・林陵平が熱弁〉
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byJacques Feeney/Offside/Getty Images
posted2023/02/03 17:01
リバプール戦の三笘薫。プレミアを席巻するアタッカーが躍動している理由を林陵平氏に解説してもらった
ブライトンは2月2日時点で、リーグ6位。このままいけば“プレミアBIG6”に割り込み、17-18シーズンの昇格以降、最高位で終えるシーズンになる可能性が高い。ヨーロッパカップ、さらにはチャンピオンズリーグの出場権獲得も遠い夢ではない。躍進を続けるクラブを支えるベースとは、どのようなものなのだろうか。
「ブライトンのサッカーはわざと最終ラインでボールを繋ぐんです。そこで相手を前に吊り出し、そこから前線へつなげる。チームとしてどうプレスを回避し、前線の選手にいい形でボールを渡すか。デゼルビのサッカーがちゃんと絵を描けているから三笘はストレスなく前を向ける。守備のプレッシングの掛け方、攻撃のサポートの仕方や顔の出し方……試合を見てすぐに強くなることはわかった。今のブライトンはみんなで同じ絵を描こうとしている。好調なクラブの共通点だと思います」
ミトマ覚醒に欠かせない3人
林氏は三笘の好調ぶりを語る上で、チームメイトの存在にも触れておきたいと語る。
「冒頭で『味方の使い方が上手い』と言いましたが、非常に優秀な選手に囲まれている中でプレーできていることも、選手としての“運”を感じますよね。特に三笘と同じタイミングでスタメン起用が増えた左SBのエストゥピニャンとの関係性。先日のFA杯リバプール戦でもありましたが、三笘がいい状態で1vs1を迎えると、必ずエストゥピニャンがサポートしている。オーバーラップ、インナーラップと状況に応じたサポートの質がいい。ただでさえ選択肢の多い三笘の可能性をより広げている印象です。デゼルビが描く絵に加えて、選手間での連動も素晴らしいですね」
さらにゲームを作るボランチには、この冬にアーセナルが本気で獲得を目指したというエクアドル代表MFカイセド、そしてW杯優勝に貢献したアルゼンチン代表MFマクアリスターといった売り出し中のタレントが揃う。
「2人とも良すぎる。彼らの存在によって、三笘にボールが渡る前に“貯金”(=囮になったり、相手を引きつけるタメ)を作れるんです。攻守においてゲームをコントロールできる選手が中盤の底にいることは非常に大きいと思います」
日本代表では三笘をどう生かす?
ここまで毎週のように無双ぶりを目撃している国内のサッカーフリークたちが気になるのは、世界で評価をあげる三笘を日本代表でどう生かしていくか。まさに「三笘を生かすサッカー」を展開するブライトンは、参考になるのだろうか。