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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「親不孝な終わり方をしてしまった」駒澤大・大八木弘明監督に謝りたい…優勝後に休部、花崎悠紀が明かす“2年後の真実”「一番学んだのは…」
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byJIJI PRESS
posted2023/01/28 11:03
大八木弘明監督に「怒られ続けました」と振り返る、2021年箱根駅伝優勝メンバーの花崎悠紀。翌4年時には駅伝に出場しなかったが、それには理由があった
「大八木監督に出会い、厳しく育ててもらったので、自信を持って生きていけるようになったと思います。褒められた記憶はないし、怒られた場面しか頭に思い浮かんでこないのですが、一番学んだことはカッコよく言えば、生き様。一度、自分で決めたことは必ずやり通す。口だけでは終わらせないこと。『それが男だ』という感じですかね(笑)。人間として、強くしてもらいました。仮に高校時代に戻っても、大学は駒澤大を選ぶと思います。大八木監督とはまた意見をぶつけ合いたい(笑)。実の父親とは激しく言い合いになるような喧嘩はしたこともないのに不思議なものです」
贈る言葉は「お疲れ様でした」ではなく…
陸上への情熱が衰えることのない熱血漢も64歳を迎え、今年1月、箱根駅伝で優勝を決めた後に監督退任を表明。現在、富山に住む花崎は報道で知ったが、さほど驚きはなかった。世界の舞台で戦える田澤廉を育てた後、今の立場を退く予感はあったという。ただ、『退任』の言葉は、しっくりときていなかった。
「一区切りかもしれませんが、総監督としては残るんですよね。きっと、これまでとそこまで変わらない気もします。たぶん、朝の5時半にはいつもの自転車に乗って、チリンチリンと練習場にやって来ますよ。僕はものを言えるような立場ではないですが、あえてメッセージを送るとすれば、『お疲れ様でした』よりも、『これからも頑張ってください』ですかね」
迷惑をかけたこと、生意気だったことを謝りたい
花崎は駒澤大の陸上競技部を離れてから、まだ一度も大八木監督と顔を合わせていないという。当面は本人のもとに訪ねて行く予定もない。照れ笑いを浮かべながら、胸の内を明かしてくれた。
「いつの日か、直接会って、ちゃんと言います。迷惑をかけたこと、生意気だったことを謝りたい。感謝の言葉もしっかりと伝えたい。でも、まだ恥ずかしくて、できないんです。少し作戦を考えているのですが、ここでは言わないでおきますね」
数年後の可能性もあるが、もしかすると、近い将来なのかもしれない。怒られすぎた男は、人生の師への恩を今もしっかりと心に留めている。
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