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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「親不孝な終わり方をしてしまった」駒澤大・大八木弘明監督に謝りたい…優勝後に休部、花崎悠紀が明かす“2年後の真実”「一番学んだのは…」
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byJIJI PRESS
posted2023/01/28 11:03
大八木弘明監督に「怒られ続けました」と振り返る、2021年箱根駅伝優勝メンバーの花崎悠紀。翌4年時には駅伝に出場しなかったが、それには理由があった
苦悩の日々が続き、不眠症にも悩まされた。3日続けて、まともに寝られないこともあった。しばらくすると、寮の部屋からも出られなくなり、練習に参加できないまま時間だけが過ぎた。気持ちは沈み込み、夏には退寮。実家の富山に戻り、休部扱いとなる。大八木監督から「少しでもやる気になれば、戻ってこい」と声をかけられたが、すでに駒澤大の陸上競技部からも、走ることからも心は離れていた。2年という歳月が流れて、思うことはある。
3年生のときのように本音をぶつければ、よかった…
「僕にも非はありました。大八木監督にもっと早い時期に自分の思っていることをすべて話せば、よかったなって。僕は区間賞を取っていたので、もう弱いところを見せられないと思い、話しに行くことができませんでした。でも、3年生のときのように本音をぶつければ、よかった。そこは本当に後悔しています」
2022年1月に開催された98回大会の箱根駅伝は、一切見ることもなかった。すべての陸上関連の情報を遮断し、SNSも目に入れないようにしていた。4年生の活動が終わると、正式に陸上競技部を退部。静かに競技生活の幕を閉じた。
ただ、同年春に大学は卒業できず、不足している単位を取るために5年目は実家の富山から週に1度、夜行バスでキャンパスに通っていた。当初は見ることも頑なに拒んでいた陸上競技だったが、1学年上の先輩であるOBの小林歩(現NTT西日本)の動画配信を見たことをきっかけに氷解していく。大学を卒業後も実業団で走り続けている先輩と直接、たわいもない会話をするようになってからは心も落ち着いてきた。
「一時期は陸上も駒澤大も嫌いになったのに、小さなことで悩んでいたのかもしれないと思ったんです。(2022年の)出雲駅伝、全日本大学駅伝までは自分の中で完全に許せていなかったのですが、箱根駅伝は全力で応援していました」
少年のように目を輝かせる監督の姿を見て…
大八木監督が選手たちを熱血指導する姿を映像で見ると、かつての記憶も甦った。