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岡崎慎司「日本人の特性という武器だけではダメなんです」欧州で遠回りをしないために伝えたい“自己確立”の大切さと“部活の可能性”
posted2023/01/19 11:17
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Getty Images
日本にプロサッカーリーグが発足して30年余りが経った。Jリーグの下部組織(クラブユース)の登場以降、優れた能力を持つ選手たちの多くは、学校の部活ではなくクラブでサッカーをプレーするようになった。現在では育成年代の日本代表やその候補たちの大半が、中体連や高体連ではなくクラブユースの所属選手だ。
その一方で、A代表となると高校での部活経験者の比率は高くなる。先日のW杯カタール大会メンバーでも26名中13名と半数。もちろん、高体連とクラブユースに所属する選手の数は大きく異なり、クラブユースからトップチームに昇格できる選手の数にも限りがあるため、単純な比較はできないだろう。とはいえ、部活動経験者ならではの“強み”というのもあるのかもしれない。
かねて「子どもたちには部活を経験させたい」と話していたのが岡崎慎司だ。自身も兵庫県の滝川第二高校で高校選手権に出場している岡崎に、部活で得た学びと、ヨーロッパで活躍するうえで重要な“個”を育てるためのヒントを訊いた。(全3回の3回目/#1、#2へ)
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岡崎慎司を育てた滝川二高での経験
――岡崎選手は10年以上ヨーロッパで暮らしていますが、お子さんたちも現地の学校に通っているんですよね。
「はい。イギリス、スペイン、今はベルギーでインターナショナルスクールに通っています」
――そんな子どもたちに「日本の部活を経験させたい」と話していました。
「僕自身、滝川第二高校での経験が、非常にプラスになっていると実感しているからこそ、そんなふうに思うこともあります。もちろん、サッカーに限らずスポーツをするかどうかも含めて、子どもたち自身の意志を大切にしたいと考えています」
――滝川二高のサッカー部ではキャプテンも経験されていますね。
「2年時の高校選手権が終わった時点で、3年生から指名されました。僕以外にも適任者はいたので、想定外の出来事でしたね。滝川二高の黒田和生監督は、選手の自主性を重んじる方で、戦い方などを選手自身がミーティングをして決めていくんです。キャプテンはミーティングを進行し、その内容を監督に報告する役割がありました。でも監督は必ず『どうしてそういう結論になったのか?』と指摘するんです。だから、とことん話し合わないといけない。僕の要領が悪かったのもあるんですけど、とにかく大変な仕事でした。自分のことだけを考えていた1年、2年のころとは全く違う。チーム全体を見て、チームメイトのことも考えなくちゃいけない。完全にキャパオーバーでしたね。結果的に仲間に支えてもらったり、助けてもらったりしながら、なんとかキャプテンになれた。そんな感じですね」