大谷は、スターターとクローザー両方を務める可能性が高い

　悲願である3大会ぶりの世界一を目指す上では「クローザー」起用が最も効果的に見える。

　だが、である。決勝戦後、わずか9日で始まる公式戦を考えた場合、1試合わずか15球から20球程度の「クローザー」では「スターター」としての持久力を養えなくなる。

　通常の春キャンプを過ごせば、30球、50球、70球、90球と段階を上げて球数を増やし「スターター」としての持久力、感覚を磨いていくが、それができない状況で開幕戦を迎えた場合、「スターター・大谷」の公式戦初登板はいつになるのか。今季、3000万ドル（約39億円）もの年俸をもらうチームへの責任を考えれば、WBC での「クローザー専任」は簡単に下せる結論ではない。

2022年シーズンの大谷　©Nanae Suzuki

　とはいえ、そんなことは栗山監督にとっても大谷にとっても“余計なお世話”という話だろう。すでに想定したうえで、ふたりだけの密談は続いているはずだ。

　私見ではあるが、「スターター」と「クローザー」の両方を務める可能性が高いと思っている。例えば、1次ラウンド2戦目の韓国戦で「スターター」を務めれば、中5日で16日の準々決勝を迎えることができる。球数も65から80球へと増やし耐久力も養える。その上で決戦となるマイアミでの準決勝と決勝では「クローザー」へと配置転換する。米国やドミニカ共和国に大きなプレッシャーをかけることができるだろう。

　想像するだけで楽しみの尽きない大谷の起用法。ファンの皆さんも、侍ジャパンにとって、大谷翔平にとって、最高の起用法を思い巡らせていただきたい。

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