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ドーピング問題から1年 ワリエワ16歳が騒動をモチーフにした衝撃プログラムで見せた決意とは「過失なし」裁定に再び紛糾
text by
栗田智Satoshi Kurita
photograph bySputnik/KYODO
posted2023/01/15 11:02
ワリエワの今季のフリーでは、自身のドーピング騒動を想起させる振り付けがある
こうした一連の流れはロシア国内でも大きなニュースとなった。
もしWADAの要求通り資格停止期間が4年となれば、現在16歳のワリエワにとって選手生命を絶たれることにほぼ等しい。ドーピングは撲滅されるべきものだが、処分があまりに重すぎるのではないかという声が多い。
熱狂的ファンとアンチ…分かれるロシアでの評価
一方で、これはワリエワだけでなくロシア全体の問題だという意見もある。エフゲニー・プルシェンコの妻で敏腕プロデューサーとして知られるヤナ・ルドコフスカヤはインタビューでこう語っている。
「私たちはカミラの無実を信じていますが、今のままではいけません。彼女自身だけでなく、北京五輪でロシアの栄誉を守ったチーム全体の命運も、この問題の結果にかかっているのです。
人々は何が起こっているのかわからない状況下では何かが隠されているのではないかという感情を抱くものです。外国のフィギュアスケート関係者たちとも話しましたが、彼らは、それが何であれ、真実を知りたいと言います。カミラが本当に無実なら、無罪とされるべきですし、実際に証拠があるなら公表すべきです。
もし隠蔽し続けるなら、ロシアの選手たちや連盟が非難を受けるおそれもあります。この問題が影響し、他の選手たちが国際大会から除外される別の理由となってしまうことを危惧しています。少年少女たちが苦しみ、将来を夢見ることすら奪われるようなことがあってほしくないのです」
ワリエワに対する評価はロシア国内でも大きく分かれている。
五輪騒動以降、悲劇のヒロインとしてのイメージが定着した彼女は、大会では熱い応援メッセージが描かれた横断幕がいくつも掲げられ、演技後には無数のぬいぐるみや花束が投げ入れられる。インスタグラムのフォロワー数は120万を誇り、世界中から応援コメントが届いている。ちなみにフォロワー数はメドベデワ130万、ザギトワ110万、トゥルソワ100万、シェルバコワ81万だ。
一方で、ドーピング問題に関する批判を集め対立を煽るような記事も多く、いわゆるアンチによる誹謗中傷も少なくない。