写真集後に感じた変化「あー、こんなに性的対象になるんだな」

――ああいうコンセプトに、なぜOKを出したんですか？

納見　写真集イコール少しハードだけど、私のお仕事だと完全に割り切っていたから。ああいう形でも世にアピールすることで、少しでも（全女の会場に）お客さんが来てくれればなって。来ても自分のファンにならないだろうけど、そこには実力者が大勢いるから、その選手のファンになってくれたら、また会場に来てくれるかなぁと、そういう考え。でも、全女の選手だったら、「あたしのファンにしてやる！」ぐらいに思わなきゃダメですよね。私には、それがなかった。

――報われることのない“全女愛”が強すぎるので、聞いているとせつなくなります。

納見　あははは（笑）。周りの人から、「大丈夫？　（会社に）無理にやらされてない？」ってすっごく心配されたけど、本人は「仕事です」ってすごい割り切ってたんで、嫌っていう感情は二の次でした。麻痺してますね（笑）。

――ファンの反応は、どうでしたか。

納見　それまでも多少手紙で「ブス」とか「辞めろ」みたいな誹謗中傷系はありましたけど、写真集をやってからは、それが公園の落書きみたいな卑猥な言葉に変わりましたね。「あー、こんなに性的対象になるんだな」って思った。それまで脇澤さんと「ミホカヨ」というコンビで子どもみたいなことばっかりやってたので、急に立ち位置が変わって、ファンも自分もとまどってる感じはありましたね。

ファンから「100万円の封筒」も

――ストーカーなど、怖い体験はなかったですか。

納見　それはなかったけど、封筒に入った100万円をもらったことはありました。自分のファンの人が売店で副会長に預けて、副会長は「これ預かったけど、たぶんお金だよ。はい」ってニヤニヤしちゃって（笑）。住所が書いてあったから、スタッフが連絡して返金したけど。きっと心配してくれたんだと思いますよ、全女の状況がああだったから。

――納見さんが写真集で体を張っているのは全女のせいだと思いこんだファンが、足しにしてほしいと置いていったのかな？

納見　それはわからない。写真集を出したあとでっていうと、そんなこともありました。

――引退した翌05年、全女は37年間の歴史に幕を下ろしました。どんな思いでしたか。

納見　みんなもそうだと思うんですけど、全女はなくならないと思ってたから、「あっ、最後に会長はあきらめたんだ。無理だったんだな」って。今じゃ「はちゃめちゃな団体だったよね」「でも、おもしろい団体だったよね」って多くの人が笑って話すと思うけど、私は全女末期に（立て直せる）チャンスをもらいながらもできなかったから、今も100％カラッと笑える気持ちかというと、正直ちょっと違うかもしれない。あっ、でも、後悔ともまた違うんですけどね。この質問されるまで、忘れてたぐらいだから（笑）。

《つづく》

#3に続く

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