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写真集は4冊発売…『キッスの世界』でも活躍した“アイドルレスラー”納見佳容が振り返る「あの帯は嫌だった」「感情は二の次。麻痺してました」
text by
伊藤雅奈子Kanako Ito
photograph byL)本人提供、R)Yuki Suenaga
posted2023/01/18 11:02
『キッスの世界』でも活動し、アイドルレスラーとして人気を博した納見佳容さん
「容姿を褒められても、バカにされてるように感じてた」
納見 「アイドルレスラー」「かわいい」とか、見た目のことを言われたり誌面に書かれるのは、レスラーとして認められてないからだと思ってたんです。容姿を褒められても、バカにされてるように感じてて。だったら試合で見せられるのかといったら、それもできない。とにかく、早く見た目にふれられない強い選手になりたかったですね。でも、これが自分の個性だなって気づいたら、そこから先は楽になりましたけど。
――キッスの世界を振り返って、どうですか。
納見 楽しかった! 4人だから心強いんですよ。それまでは、プロレスじゃない仕事で会場に遅れて入ると、先輩全員に1人で謝りに行かないといけないとか、ちょっとしたストレスがいくつもあったんだけど、4人になると、中西さんが率先して「謝りに行くよ!」って連れてってくれたし。3人がとにかく強くて明るいから、(周囲から)あれこれ言われても、気にならなかった。みんな、必死だったし。
――なぜ、そこまで必死になれたんだろう。
納見 あのときはもう、会長たちに「私たちがドームに連れてくから!」って言ってましたからね。自分たちのためではなかったと思う。自然とそういう考えになってたから、何の疑問もなかったし、会社のためにこれだけやってるのに……という気持ちもぜんぜんなかった。自分たちが(全女を)どうにかするっていうのが夢だったんで。
セクシー写真集の発売は「自分ができる精いっぱいでした」
――健気すぎる。さっき言った「キッスの世界の後」は、どんな理由でネガティブになったんだろう。
納見 大人になっちゃって、「自分がお客さんを呼ぶ役割でしょ」ってわかってるのに、できないジレンマ。若さという勢いがなくなって、自分のなかでも落ち着いたところで、脇澤さんが引退(01年)。そこで悩んじゃって、25歳のときに「あと2年」っていう結論を出したんです。後悔せずにやりきったと思えるには、2年はかかるだろうと。あと、周りに迷惑かけないようにって、自分なりに必死で絞りだした答え。その設定があったから、写真集もやろうとなれたんです。っていうことは、今初めて口にしました。
――写真集の中身は、かなりきわどかったです。抵抗感はなかったですか。
納見 そのときはもう、今までやらなかったことをやるしかないと切り替えてたんで。写真集はそれまでに何回も断ってきたけど、(井上)貴子さんの写真集にずっと携わってきた影さん(田口かほる)から初めて声をかけてもらって、「海外に行くよ」って言われたときは、セクシー系だなって覚悟を決めました。写真集はね、自分のなかではすごいことをやったとぜんぜん思ってなくて。
――えーっ! フルヌードではないけれど、かなりハード系でしたよ。
納見 最後(03年刊行の「Know Me?」)のとき、帯に「初のオールヌード。」って書かれたけど、ヌードじゃないので、そんなに釣らなくても……って思ってた(笑)。写真集としては4冊全部が気に入ってるけど、露出度だけでいうとどれも中途半端だと当時は感じていて、でも、あれが自分ができる精いっぱいでしたね。あの帯は嫌だったなぁ。