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「あれはスポーツではない」アーネスト・ホーストが“バラエティ化する格闘技”に鳴らす警鐘「少しだけテクニックを覚えた状態は危険」
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byKoji Fuse
posted2022/12/30 17:13
12月中旬、名古屋市内で取材に応じたアーネスト・ホースト。K-1人気を牽引した“ミスター・パーフェクト”は現在の格闘技界をどう見ているのか
ホーストは「オランダにもセレブリティ・ボクシングというものがある」と切り出した。セレブリティ・ボクシングとは金持ちの有名人が出場するボクシングで、著名な元サッカー選手や女優が出場した例もある。去る11月13日(現地時間)にドバイで開催された、フロイド・メイウェザー・ジュニアがイギリスの人気Youtuber・デジと闘ったエキシビションマッチもセレブリティ・ボクシングと見なされている。
以前、ホーストはセレブリティ・ボクシングに出場するという金持ちに1カ月ほどコーチしたことがあることを話し始めた。
「私の指導を受けることで、その金持ちは少しずつレベルアップしていきました。でも、わずか1カ月ですからね。少しだけテクニックを覚えた状態でリングに上がることになるので、ある意味危険だと思いました。私は感心しませんね」
では、格闘バラエティというべき新たなジャンルについては?
「私にとっては関係ないというか、どうでもいい。何も思うことはない。そのイベントを支持する者がいて、出場者が満足のいく見返りをもらえるならいいのではないでしょうか」
もし自分に出場のオファーがあったら?
「ほとんどストリートファイトですからね(笑)。条件がよければ考えるけど、私はスポーツとして認知されるキックボクシングを実践するアスリートだった。そんな自分から見ると、あれはスポーツではない。個人的には好きではないですね」
後進の育成に励みながら、ゆったりと第2の人生を過ごすホーストは、やはり賢者のままだった。
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