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「あれはスポーツではない」アーネスト・ホーストが“バラエティ化する格闘技”に鳴らす警鐘「少しだけテクニックを覚えた状態は危険」 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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posted2022/12/30 17:13

「あれはスポーツではない」アーネスト・ホーストが“バラエティ化する格闘技”に鳴らす警鐘「少しだけテクニックを覚えた状態は危険」<Number Web> photograph by Koji Fuse

12月中旬、名古屋市内で取材に応じたアーネスト・ホースト。K-1人気を牽引した“ミスター・パーフェクト”は現在の格闘技界をどう見ているのか

引退後に芽生えたピーター・アーツとの友情

 現役時代、最大のライバルといわれていた同じオランダのピーター・アーツとは、冒頭で記した『Hoost Cup』でも一緒だった。アーツは双子の長男マルシアーノ・アーツとハフィド・アブデルのセコンドに就くために名古屋入りしていたのだ。揃ってリング上で挨拶する場面になると、会話をかわす場面もあった。アーツとは6度も闘っているが(ホーストが4勝2敗と勝ち越し)、現在はどんな関係なのだろうか。

 ホーストは、2014年10月に大阪の空手団体が主催した大会でアーツとのラストファイトを行ったとき、控室でこんなふうにアーツに語りかけたことを教えてくれた。

「俺たちは6回も闘っている。もう(普通に話をしても)いいよね?」

 格闘技では拳を交えた者同士でしかわからない友情が芽生えやすい。ホーストとアーツもそうだった。すぐさま意気投合したふたりはホーストの地元であるホールンで一緒にトレーニングを始めた。K-1レジェンドの合同練習はヨーロッパの格闘技界の噂話となり、各所から声をかけられるようになった。ブルガリアを拠点に東ヨーロッパ一帯でビッグマッチを打つ『SENSHI』という団体からは「アーツさんと一緒にセミナーをやりませんか?」と声をかけられ快諾。ブルガリアで一緒にセミナーを実施したという。

 ホーストは穏やかな口調で結んだ。

「アーツはずっと闘い続けたライバルだけど、それからなんとなく距離は縮まり、現在はとてもいい関係だと思います」

流行中の格闘バラエティは「スポーツではない」

 格闘技界の賢者というべき佇まいのホーストに、昨今の日本の格闘技の流行についても聞いた。ボクシングの元世界王者が絡むエキシビションマッチや、素人も出場する格闘バラエティというべきイベントの存在についてはどう思っているのか。

【次ページ】 エキシビションに対しても「私は感心しませんね」

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