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全日本フィギュアで高橋大輔が見せた”ダンサーとしての進化”と村元哉中との”戦友みたいな関係性”「2人は成長のプロセスを愛している」
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAsami Enomoto
posted2022/12/30 11:02
全日本フィギュア選手権のアイスダンスで初優勝を遂げた村元哉中・高橋大輔組は、世界選手権への切符も手にした
高橋の「やけ酒」に村元「最高のクリスマスです(笑)」
初優勝を遂げた12月24日の夜。どんな夜になったかと聞かれて、答える。
「僕は…結果的には最高なのですが、ちょっと最後(のミス)に捕らわれ過ぎてるので、やけ酒をしようかなと思います」
すかさず村元が突っ込む。
「私には最高のクリスマスです(笑)」
「ごめん、やけ酒とか言っちゃったよ」
苦笑いしながら見つめ合う2人は、最高の戦友といった様子だった。
その1時間後、廊下で2人に長い時間、話しかけるズエワコーチの姿があった。今季4戦目、すべての試合に同行したズエワコーチは、2人が新たな立ち位置に来たという。
「大輔は今、シングルからアイスダンサーへの変化の時を迎えています。シングルの時は、自分だけに集中すれば良く、自分の状態に合わせて動きを変更することもできます。でもアイスダンスは勝手に変えることはできません。そして1つ1つのエレメンツに集中する時間が10秒以上あり、ハードな集中力が求められます。リズムダンスは3分、フリーダンスは4分、パートナーと呼吸も合わせなければならない。大輔はいま、1つ1つのエレメンツのレベルが上がってきたからこそ、呼吸の難しさを感じられるところまで来ました」
そしてこう続ける。
「2人は、プログラムを成長させるのが大好き、そのプロセスを愛していると言っています。アイスダンスにとっては、点数や試合よりも、そのプロセスが本当に重要なのです。小さな進化を喜ぶことが、演技の魅力に変化していく。シングル時代とは違うスケートの楽しみ方を、2人で見つけていると思いますよ」
高橋はシングルスケーターからアイスダンサーへと生まれ変わる、その過渡期。そして2人はそのプロセスを楽しんでいる。だからこそ、毎試合、何かしらの変化がある。2月の四大陸選手権と、3月の世界選手権。まだまだ2人は生まれ変わる。
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