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“ガリガリで引きこもり”でも金星連発…スターダムのヒール“鹿島沙希だけの個性”「プロレスは、ギャンブルだから面白い」《特別グラビア》
posted2022/12/29 11:03
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Shigeki Yamamoto
鹿島沙希にとって、2022年はキャリアの中でもとりわけ印象的な年になった。
「特に下半期は(得意技の)起死回生で勝ちまくったイメージしかない」
本人もそう言うほどの絶好調。所属するヒールユニット・大江戸隊の渡辺桃、スターライト・キッドと6人タッグ王座「アーティスト・オブ・スターダム」を獲得したのが5月のこと。夏になるとさらに勢いを増し、シングルリーグ戦「5★STAR GP」で大旋風を巻き起こした。
結果としては6勝6敗だが、勝った相手は朱里(ワールド・オブ・スターダム王者)、AZM(ハイスピード王者)、林下詩美(前ワールド王者)に中野たむ(前ワンダー・オブ・スターダム王者)などトップ選手ばかり。大穴をあけまくったのだ。リーグ戦終了後、殊勲賞を受賞したのも当然といえる闘いぶりだった。
原動力となった得意技「起死回生」
活躍の原動力となった「起死回生」は相手の隙を突く丸め込み技。秒殺で決めることもあれば、その名の通り相手の攻撃を受けまくり、粘りに粘って大逆転ということも。
「ゲームでいうと、HPがゼロになったところで発動するような技です(笑)」
鮮やかでキレのあるフィニッシュの擬態語(?)として「スパパパパーン」というワードも生まれ、スターダムの流行語に。リーグ戦の期間中には地元の島根で凱旋興行も開催された。
「リングに上がったら東京とか大阪の大会でよく見るキモオタ(鹿島ファンの呼称)もいて“え、なんでいつも東京で見る顔ぶれがいんの?”ってビックリしました。ありがたいですね。あったかい雰囲気で最高でした。前回の凱旋は地元のお客さんが9割9分。同世代の友だちがいないから昔の職場の人とかお兄ちゃんの会社のプロレス好きの人とかが来てくれたんですけど、今回はいろんなところから。それだけスターダムの人気が広まってるんだろうし、私を見たいという人も増えたのかな。どうなんですかね?」
朱里は「とにかく怖い。関わっちゃダメです(笑)」
スターダムの頂点に立つ朱里に勝ったのだから、ベルトをかけての再戦を要求してもいい。だが鹿島はそうしなかった。ノンタイトルでの再戦も拒否したのだが団体に組まれ、リベンジを許した。