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“ガリガリで引きこもり”でも金星連発…スターダムのヒール“鹿島沙希だけの個性”「プロレスは、ギャンブルだから面白い」《特別グラビア》 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2022/12/29 11:03

“ガリガリで引きこもり”でも金星連発…スターダムのヒール“鹿島沙希だけの個性”「プロレスは、ギャンブルだから面白い」《特別グラビア》<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

必殺技「起死回生」を武器に、今年はリーグ戦の活躍でも話題を集めた鹿島沙希

 受身も工夫して練習しており、自分の体の個性に合ったやり方を掴んだ。実際、これまで大ケガはしたことがないそうだ。

「ロッシー(団体創設者でエグゼクティブ・プロデューサーのロッシー小川氏)にはいつも“素人みたいな体してる”って言われるんですよ(笑)。アンチにも言われます。でもそんな体でチャンピオンにも勝てちゃう。プロレスは体格がすべてじゃないんですよね」

「ガリガリで体力なくて、貧弱な引きこもりでも…」

 中学校を卒業すると、家でプロレスばかり見ていた。女子プロレスを知ると一念発起してスターダム入門。最初はただガムシャラで「先輩の言うことを聞いて、いっぱい食べていっぱい練習すれば強くなれる」と思っていた。だが勝てるようになったのは、自分なりに考えてプロレスに取り組むようになったからだ。

「プロレスは頭が8で体が2かな。私みたいなガリガリで体力なくて(格闘技やスポーツの)バックボーンがない貧弱な引きこもりでもやっていけるんですから」

 何が得意なのかと聞かれたらなかなか答えられない。しかし鹿島の試合は面白いし、常に“大物食い”の可能性がある。結局どういうことなのかというと、彼女は“プロレスが得意”なのではないか。

「えっ? そうなんですかね……。でも心理戦とかは好きですね。リーグ戦では全試合“握手”からスタートしたんですよ。握手を求めて、相手が応じてきたら奇襲を仕掛けたり、逆にただ握手をするだけの時もあったり。“今日はどっちなんだ”って相手が考える分、こっちに有利になるし、見てる人も面白いじゃないですか。

 真っ向勝負しても勝てないんで、そういう要素で闘いたいんですよ。試合中に相手に話しかけたり。今日はこれをやるって決めてるわけではなくて、その時に思いついたことをやってます。相手にもお客さんにも(何をするか)読まれたくないので、そのためには自分でも決めすぎないほうがいい」

「人に迷惑かけたくない」鹿島が明かした“繊細さ”

 今年のリーグ戦で「シングルマッチが好きになった」と鹿島。

「ユニットで闘うのも好きなんですけど、人に迷惑かけたくないって気持ちがあって。自分が足引っ張っちゃうんじゃないか、とか。そう考えるとシングルは気楽ですね」

 とはいえ鹿島は、これまでにアーティスト王座を4つのチームで計5度獲得している。チーム戦の名手と言っていいだろう。その鹿島が、仲間の足を引っ張ることを気にしていたとは。あるいはその繊細さが“頭が8割の考えるプロレス”につながっているのかもしれない。

「大江戸隊の若い選手、特にキッドはどんどん前に出て目立ちたいって感じですよね。それはプロレスラーとして凄くいいこと。だから私はあれこれ言わず、一歩引いて見守っていようと。キモオタには申し訳ないけど、スターダムのファンは若い子の活躍が見たいんだから。自分が出しゃばるより若い子が前に出たほうがいい。私は出戻りでもあるし」

 鹿島は2011年にデビューしたものの一度退団、地元で働いていた。復帰を果たしたのは2018年、5年ぶりのことだった。自分がいない間に入門し、デビューした選手もいる。先輩・後輩の関係が少しばかりややこしい。他にも性格的に、いろいろとストレスを溜め込みやすいようだ。

「それがプライベートで爆発する時があって。爆買いしたり酒めっちゃ飲んだりヒトカラ行ったり。あと叙々苑で一番高い肉を食べますね。スターダムでストレス溜めて、でもこんないい肉食べられるのもスターダムのおかげだしなぁ、クソ~って(笑)」

【次ページ】 岩谷麻優だけは「なんでも話せたし信頼していた」

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