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宇野昌磨「あまり嬉しく思えない」の真意とは…フィギュア世界選手権の選考基準をめぐる舞台裏「男子3人はどうやって選ばれたのか?」
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAFLO
posted2022/12/28 17:03
フィギュア世界選手権代表会見で、宇野昌磨は選考基準について疑問を呈した
では男子の選考を見ていこう。1人目は宇野昌磨で決定。そして2人目の項目を満たすのは、下記となる。
【2−A】島田(2位)、友野(3位)
【2−B】山本(2位)、佐藤駿(4位)
【2−C】山本(3位)、三浦佳生(4位)、佐藤(8位)
「2人目の選考土台に乗るのは5名。満たしている項目数、順位、内容を加味して、強化部として総合的に判断した結果、山本選手となりました」と竹内強化部長。
さらに3人目の項目は下記となる。
【3―A】島田、友野、佐藤、三浦
【3―B】鍵山優真(4位)、友野(12位)、佐藤(20位)
【3―C】佐藤(12位)、三浦(14位)、友野(16位)
【3−D】三浦(149.62点)、佐藤(141.43点)、壷井達也(129.66点)
満たしている項目数としては、佐藤は4項目、友野と三浦が3項目、島田と鍵山と壷井が1項目。その内容も含めて強化部が議論して推薦選手を決め、フィギュア委員会に提出。差し戻しもあるなど、意見は分れたという。
「さまざまな意見があったのは事実です。名前が上がっている中で、各項目の内容もふまえて判断した結果、友野選手を選びました。また佐藤選手は満たしている項目が非常に多く、総合的に(島田より上の、補欠1番手に)判断しました」(竹内強化部長)
全日本選手権の結果は、重視されないのか?
この過程をすべて振り返れば、今回の選考は妥当と思えるが、宇野が疑問を呈した通り「最終選考会である全日本選手権の結果は、重視されないのか」という部分が、一般的には違和感のある部分だろう。
「選考は、全日本選手権の一発勝負ではありません。力を発揮出来る時もあれば、出来ない時もある。だからこそ事前に選考基準を出しています。特に男子は、これまで羽生結弦さん、宇野選手、鍵山選手がメダルを独占してきたなか、今回は新たなメダリストになる緊張感がある難しい試合でした。全日本選手権に勝負をかける大変さも理解した上で、やはり選考基準すべてを加味することは正しい方向だと理解しています」(竹内強化部長)
しかし昨季の北京五輪代表の選考では、全日本選手権3位の河辺愛菜が選ばれ、4位の三原舞依は国際大会で結果を出していたにもかかわらず落選。アイスダンスも、国際大会で上位だった村元哉中・高橋大輔組が選ばれず、「全日本重視」の印象を与えた。シーズンによって選考で重視する項目にブレがあることは、選手にとっても、ファンにとっても、消化しきれない感情を生むことになる。今後は、選考の説明責任と、漏れた選手へのフォローが重要になるだろう。
すると竹内強化部長は、今回の選考に漏れた選手についてこう話した。