「昌磨のジャンプに対するアプローチは、とてもシンプルになってきています。ジャンプの複雑な一連の動きを、たった1つのキーワードで跳んでいるんです。調子が合わないときに、1つの注意点を考えれば、そこからジャンプを成功させるための複雑な動きに自然につながっていく。そこまでジャンプを完成させているならば、次のステップに進むことができます。実際には、4回転ルッツに去年の夏から取り掛かっています。昌磨は新たなことに挑戦するのが好きですし、そのジャンプの仕組み理解しようとしています。引き続き取り組んでいきます」

「今後の練習につながる良い試合」

　ショートで見せた対応力、そしてフリーで挑んだ新たな連続ジャンプ、さらに4回転ルッツへの計画。宇野は明らかに、「本番」という練習をこなしていた。

「今まで沢山のことを経験してきました。僕は1つの試合にかける思いが強く、色々な経験を何一つ投げ出さずにやってきたからこそ、こういう状況はこうなる、というのが分かってきたと思います。試合というのは、練習で100％跳べているジャンプでも失敗する場。逆に、試合だけうまく行く時もあります。ただ、練習よりも試合のほうが、自分のレベルアップに繋がる場だと思っています」

　そして最後、こう締めくくった。

「今後の練習につながる良い試合でした」

圧倒的な強さで全日本選手権5度目の優勝を飾った宇野昌磨　©︎Asami Enomoto

　連覇が期待される2023年世界選手権。宇野にとってはそんな大舞台さえ、成長のための練習の場へと変えていくのだろう。

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