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「これっきりにしたい」全日本V、坂本花織が恒例のガッツポーズをしなかった理由「終わったときはきつくて…」「日本の未来は明るいな」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2022/12/27 11:04
快心の演技も終わった後、不思議なほど冷静な様子だった坂本花織。本人にその理由を聞くと…
節目の10回目の大会は、3位になった14歳の島田麻央をはじめジュニアの選手たちの活躍が目立つ試合でもあった。ジュニア勢について尋ねられると、「ジュニアが上がってくる恐怖を感じています」としつつこう答えた。
「10年前に自分もやってきたことなので。10年前は(浅田)真央ちゃんとかが最前線で戦っていたときでした。オリンピック選手としても世界女王としても、いろいろなプレッシャーがある中で、上の人たちはすばらしい演技を続けていた。その難しさにこの歳になって気づくことができました。こういう経験ができてうれしいし、これからも大変なことだと思うけれど、大変さを味わい続けていきたいな、と感じています。日本の未来は明るいなと思っています」
日本女子フィギュア界を俯瞰したような言葉、そして記者会見で島田が答えているときに優しい眼差しを向ける姿。それらもまた、坂本のキャリアや立ち位置、育まれたトップスケーターとしてのあり方を思わせた。
追い込んで追い込んで…
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今大会の優勝で、選考基準の規定により、2023年3月の世界選手権(さいたまスーパーアリーナ)の代表に自動的に決定した。
「(来年3月までは)期間はあると言えばあるし、ないと言えばないので、追い込んで追い込んで、最高の世界選手権を迎えられるよう準備したいと思います」
グランプリファイナルでの挫折も糧としていかせた今、恐れるものは何もない。
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