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坂本花織は「素晴らしかった!カオリはちゃんと先を見ている」ブラウンが絶賛し、新世代レヴィットが憧れた世界女王の新たな挑戦

posted2022/10/27 11:03

 
坂本花織は「素晴らしかった!カオリはちゃんと先を見ている」ブラウンが絶賛し、新世代レヴィットが憧れた世界女王の新たな挑戦<Number Web> photograph by Getty Images

スケートアメリカにて優勝を果たした坂本花織。世界女王の貫禄を見せつけた

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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 ボストン郊外ノーウッドで今季のGPシリーズ開幕戦、スケートアメリカが10月21日から開催された。坂本花織はSP、フリーとトップを保って優勝を決め、世界女王らしい堂々とした演技を見せてくれた。

「嬉しい。やっと5回目にして優勝できたので、すごく今、嬉しいです」

 結果が出た直後に、ミックスゾーンに来た坂本は目を輝かせてそう喜びを口にした。過去に2位が2度、4位が2度という結果を出したこの大会で、5度目で手にした金メダルだった。

「どうしてもファイナルに行きたい気持ちがあるので、優勝持ってると強いというのはジュニアの時からわかっていた。自分のモチベーションにも関わってくるので優勝できて良かったです」

 だがまだシーズン初めだけあって、全てが完璧だったわけではない。

 SPでは3+3を予定していたコンビネーションジャンプが3+2になってしまったが、アメリカの新星、15歳のイザボー・レヴィットをかろうじてかわしてトップに立った。演技後に坂本は、ミスについてこう説明した。

「今日の出来の原因は、練習からしっかりノーミスができていなかった。ノーミスでできたら自分に自信がもてるので、どんなに(本番で)緊張していてもちゃんとできる。普段の練習からちゃんとできていなかったのが原因です」

新しい振付師との挑戦

 SPで苦心をしている理由の一つは、坂本花織が今季から新たな挑戦を始めたためだ。

 坂本はシニアデビューした2017年から、ずっとフランス人の振付師ブノワ・リショーについてきた。17歳で平昌オリンピックの代表を勝ち取ったSP「月光ソナタ」フリー「アメリ」にはじまり、昨年北京オリンピック銅メダルと初の世界タイトルを手にしたプログラムも2本ともリショー氏によるものだった。坂本花織というスケーターが世界のトップに到達する行程に、リショー氏が深く関わり合っていたことは間違いない。

 だが新たな4年の始まりである今シーズン、坂本は新しい振付師の作品にチャレンジすることを選んだ。SPはジャネット・ジャクソンの音楽で、振付はアメリカ人のロヒーン・ワード。長年ジェイソン・ブラウンの作品を手掛けてきたことで知られている振付師だ。ブラウンの演技はトランジションの複雑さ、音楽表現でずば抜けていたが、坂本自身は彼のプログラムのどんなところに惹かれたのだろうか。

「ジェイソンの滑りは、見てて時間があっという間に立ってしまうような、見入ってしまうスケート。どの場面を写真にとっても、すごくきれいなポジション。こんなにも伸び伸びと滑っているスケート、こんなにもスカッとするんだなと……」

【次ページ】 ブラウン「カオリは素晴らしかった」

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