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巨人監督の宿命とは…今季あの1戦の”非情な交代劇”にみる原辰徳監督の決断の背景「勝利と育成。一石二鳥はあり得ない」 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byKIichi Matsumoto

posted2022/12/25 17:04

巨人監督の宿命とは…今季あの1戦の”非情な交代劇”にみる原辰徳監督の決断の背景「勝利と育成。一石二鳥はあり得ない」<Number Web> photograph by KIichi Matsumoto

2022年シーズンは5位に終わり、ポストシーズン進出を逃した巨人・原辰徳監督。来季はどんな展望があるのか…

 チームがいい状態ならば、あそこは続投だったはずだ。しかしチーム状態が悪い中では、青木をしっかり抑えて、自分の力で5回を投げ切ることでしか、ローテーション投手として成長していく道はないのである。

勝利と育成ーー監督の仕事とは

 22年の巨人の若手を振り返ると大勢投手は自分の力でクローザーというポジションを手にした。山﨑伊織、赤星優志、堀田賢慎と開幕直後に先発を任された3人の若手は、最終的には山﨑は先発として、赤星も中継ぎとして自分でポジションを掴んだ。

 野手では増田陸内野手が持ち前の思い切りの良さをアピールして1軍に定着するところまではきた。ただ期待された松原聖弥外野手はいいところなく目の前にぶら下がっていたレギュラーポジションを逃してしまうシーズンとなった。坂本の離脱でチャンスをもらった中山礼都内野手も、まだまだパワーとスタミナ不足で1軍レベルでないことは本人が一番分かっているだろう。

 23年はこれらの若手に左腕の井上温大投手や秋広優人内野手、ドラフト2位の萩尾匡也外野手(慶大)らがどう絡んで、自分の力で1軍に爪痕を残せるか。力があればチャンスはもらえる。ただそこでどう自分の道を切り開けるかは、本人が自力で首脳陣にどれだけアピールできるかしかない。

 それが巨人における育成の道なのである。

 そのための監督の仕事とは勝つことだ。勝って若手を使える環境を作ることなのである。

「勝利と育成。一石二鳥はあり得ない。そのことを改めて痛感したシーズンでした」

 2022年10月2日。

 横浜スタジアムで今季最終戦を終えた直後、巨人・原辰徳監督と交わしたLINEの中の言葉である。

「勝利と育成」という2つを同時に手に入れる「一石二鳥」はありえない。ただ勝つことで、選手が育つ環境は自然と整ってくる。

 それが2023年シーズンの巨人の歩むべき道ではないかと思う。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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