サハラマラソン挑戦記BACK NUMBER

サソリ、誘拐、遭難、遊牧民……。
「砂漠ランナー新年会」で情報収集! 

text by

松山貴史

松山貴史Takashi Matsuyama

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photograph byMiki Fukano

posted2011/02/04 06:00

サソリ、誘拐、遭難、遊牧民……。「砂漠ランナー新年会」で情報収集!<Number Web> photograph by Miki Fukano

初マラソンで衝突・転倒!! 全治4週間の怪我を負う。

 2時間経過段階で30kmと良いペースで走れていたが、さすがに疲れ始めてきていた。残り5kmの地点でハーフ参加者の人と接触し転倒。膝を痛めてしまう。残り5kmなので足を引きずって何とか完走した。3時間20分48秒。

 強引にレースに引き込んだ後輩たちも15人中の14人は完走。完走できなかった1人は普通のスニーカーで走った後輩だった。彼は足がボロボロになって「今シーズン絶望だ!」と泣き叫んでいたが、スニーカーで走った故、誰からの憐みも受けられなかった。

 そんなことより自分の膝である。

 病院へ行き、MRIまで撮ってもらった。診断は全治4週間。きちんと治療して休養すればサハラマラソンは大丈夫とのこと。膝の怪我は恐ろしいのでしばらく練習は休むことに。

 3時間20分という結果に体力面では自信がついたが、フルマラソンとサハラマラソンは全くの別物であるはず。

 もっと情報が欲しい。

サハラマラソンを走るための情報なんて、どこにも無い!?

 まずは完走者の話を聞いてみたかったので、サハラマラソン日本事務局に連絡したが、個人情報に厳しい時代で完走者の連絡先を教えていただけず。次に、自分が走るきっかけになった本『7日間で人生を変える旅』を編集・発行したA-Worksをはじめ、マラソン関係の雑誌を刊行している出版社には概ね連絡した。過去にサハラマラソンの特集をしていたら、その情報を提供してもらえるかと思ったが、残念ながらここでも満足な情報は得られなかった。

 その後、facebook、mixiなどのSNSを駆使して完走者とコンタクトを試みると、なんと「サハラマラソン」のコミュニティまであり、案外簡単に完走者を見つけることができた。

 砂漠ランナーは優しい人ばかり。基本的には皆さん返事を下さり、中には会って話をして下さる方もいた。ある方はさすがサハラマラソン完走者と言うべきか、待ち合わせ場所が「日本初100マイルトレイルランニングレースに関する事前懇談会」の会場だった。

 意外にも、アドバイスのほとんどが「走る」以外のことについてだった。例えば外で寝る練習の奨めや、イギリスにある砂漠用品専門ショップの紹介、持って行く食料の試食などである。どうやらサハラマラソンは体力だけの戦いではなく、補給戦的な要素もあるみたいだ。

砂漠ランナーたちの間で有名な「カバサワさん」とは?

 そんな中、気になるキーワードが出てきた。お話しさせていただいたり、メールでやりとりをしていたほぼ全員の方が、

「何かもっと知りたければ、カバサワさんに聞くといいよ」
「カバサワさんならもっと詳しいよ」
「今度、カバサワさんに聞いておくよ」

 と言うのだ。

 カバサワさん!

 無作為に様々な方にメールを送ったのにもかかわらず、皆さんが知っているとは……どんな方なんだ? 聞くところによると日本砂漠マラソン界の大御所らしい。

 日本在住なのか? 

 そもそも、日本に砂漠ランナーのコミュニティが存在しているのか? 

 砂漠のない日本でどうやって練習しているのか?

【次ページ】 カバサワさんに誘われて怪しい新年会に参加してみる。

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