ラグビーPRESSBACK NUMBER
名将エディー・ジョーンズが電撃解任…ラグビーW杯まで9カ月なのになぜ? 協会による“冷酷な聞き取り調査”と“観衆8万人のブーイング”
text by
竹鼻智Satoshi Takehana
photograph byItaru Chiba
posted2022/12/10 17:03
イングランド代表HCを解任されたエディー・ジョーンズ。11月には日本に大勝したが、不振に終わった秋の結果が大きな要因とされている
直近の成績は芳しくなかったが、振り返ればエディーが7年間で残してきた成果は賞賛に値する。
地元開催となった15年W杯で予選プール敗退という憂き目を味わったRFUが白羽の矢を立てたのが、日本代表を大躍進させたエディーだった。スーパーラグビーで南アフリカのストーマーズの監督業を始めていたエディーのもとへ、当時のCEOイアン・リッチーが説得に訪れて監督就任にこぎつけた。
欧州の覇権を競うシックスネーションズではいきなり全勝優勝を達成するなど、優勝は7年間で3度。就任以降はテストマッチで史上最高タイの18連勝と評判通りの采配で、イングランドラグビーの未来に大きな光を当てていた。
さらに81試合を戦い、73%という勝率はイングランド代表監督として歴代最高。80試合以上を率いた人物はエディーの他では1997〜2004年まで代表監督を務めたクライブ・ウッドワード(勝率71%)のみで、このウッドワードは2003年W杯オーストラリア大会で北半球国唯一の優勝を果たしている名将である(ちなみにこの決勝戦で戦ったオーストラリア代表の監督は、ご存じエディーだ)。
後任候補にはボーズウィック氏が浮上
このように名将と呼ばれるにふさわしいエディーに対し、RFUは無慈悲な判断を下した。だが当然、それ相応のリスクは承知の上だ。来年のW杯で優勝を逃すことになれば、幹部の多くのクビが飛ぶのは間違いない。
後任候補には、前述のスティーブ・ボーズウィックあたりか。ただし、現在は昨季プレミアリーグで優勝したレスター・タイガースを指揮しているだけに、交渉は決して簡単ではないだろう。
SOマーカス・スミスやFBフレディー・スチュワートなど将来が楽しみな若手も台頭している。日本のラグビーファンにとっても2023年W杯での対戦を控えるだけに、イングランドラグビーの今後の動向は目が離せない。