濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「立ってるだけで映える」173cmの“闘うグラドル女優”後藤智香がリングで見せる“華”と野心「四方から見てもらえるのがとにかく嬉しい」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2022/12/01 11:01
アクトレスガールズに所属する“闘うグラドル女優”後藤智香。長身を生かしたジャイアントスイングも繰り出す
本人によると「運動は嫌いじゃないんです。でも得意かどうかはまた別で」。ちなみに実家は野球一家。祖父が少年野球の監督で父はコーチ、兄も野球をやっていた。後藤も物心ついた時からボールを握り、小学生時代に女子選抜のメンバーに選ばれている。中学、高校では女子野球部がなかったのでバレーボール部だった。ただプロレスの練習は野球やバレーの体の使い方とはまるで違っていた。
「マット運動は自分がどんな姿勢になっているか、なかなか把握できなくて。技だとドロップキックから難しいです。飛び上がって、体を縮めて、それを一気に伸ばして思い切り蹴って着地する。それを一連の動作でやるっていうのがなかなか……」
話を聞いていると、何がどう難しいかをうまく説明できていた。ということは理屈を飲み込めてはいるわけで、あとはとにかく慣れるしかないのだろう。
闘うグラドル女優は「立ってるだけで映える」
そんな段階だったが、今年8月にリングデビュー。演劇ではなく、今年からアクトレスガールズが立ち上げた「アクトレスリング」だ。役ではなく後藤智香本人としてリングに立った。キャッチフレーズは“闘うグラドル女優”だ。
「立ってるだけで映えるから」
代表にはそう言われたそうだ。リングサイドで撮影していても、それは感じる。本人も「リングは四方から見てもらえるのがとにかく嬉しい」と言う。新人の頃は無我夢中で何も覚えていないという選手も多いが、後藤は細かいところまでよく覚えている。
「緊張はしてるんです、もの凄く。でも楽しめてもいますね。ここでこういう姿勢でいたらこう見えるな、みたいなことも考えてます。余裕はないんですけどね。自分のことが大好きだからかもしれないです(笑)」
見たらファンになる、試合での“華”
両親は田端で居酒屋を営む。苦労しているのを知っているから、リングに上がる自分の姿を見て喜んでくれるのが何より嬉しい。「智香が頑張ってるから俺も頑張らなきゃな」という父の言葉を聞いて、自分はもっと頑張らなければと感じた。
プロレスの練習を始めたと知って「もう応援できません」とツイッターのDMで宣言してきたファンもいる。けれどアクトレスガールズで新しいファンがたくさんできた。
見たらファンになるのも当然と思えるくらい、存在感が素晴らしい。8月からアドバイザーを務める風香(元スターダムGM)は「練習では目立たないけど試合では華があるんですよ。出てくると空気が変わる感じで」と言う。