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食べ残しに嘔吐…問われる“大食いのモラル”、女王アンジェラ佐藤はこう考える「私は絶対に残さない」「YouTubeは見せ方、容姿が重要に」
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph by本人提供
posted2022/11/30 11:03
大食い番組から『水曜日のダウンタウン』などのバラエティでも活躍するアンジェラ佐藤
食べ残しに嘔吐…問われる“大食いのモラル”
テレビでの大食い番組が下火になっている理由は、コンプライアンス基準の強化も背景にあるだろう。最近もバラエティの大食い企画での大量食べ残しや、YouTubeでの大食い企画中の嘔吐に「食べ物を粗末にするな」と批判が寄せられた。
こうした批判の矛先は度々フードファイターにも向けられるが、アンジェラは大食いタレントとしての自覚をこう語る。
「私はそのまま批判を受け止めます。だからこそプライベートでも絶対に食べ物を残したくない。
これは伝説になっているのですが、前に『大食い王決定戦』でおかゆ対決があったとき、余ったおかゆを大きなビニール袋に入れて持って帰ろうとしたんです。結局、当時の一番偉いディレクターに怒られて捨てられてしまったのですが、それくらい食べ物を粗末にするのが嫌なんですよね」
食べ物は絶対に残したくない――。フードファイターとしての信念の根底にあるのは、幼い頃の父の教えだったという。
「うちの親は戦後の物のない時代に育ってきた人たちなので、とにかく食べ物を粗末にするなと言われて育ちました。食べ物を捨てることは、人を殺すのと同じくらい悪なのだと。私はその教えを忠実に守って、食卓に並ぶものを全部食べ尽くしてきた結果、どんどん胃袋が広がったのだと思います。
合コンにもジップロック持参ですよ。絶対にご飯が余るじゃないですか。そんなんだから恋愛はうまく行かないけれど、父には『お前は俺たちのヒーローだ!』と褒められるんですよね(笑)。
人より多く食べるということは、それだけ命をいただいている。私たち大食い選手やタレントはその責任をしっかり自覚しなければいけないと思うんです。残念ながらYouTuberの方の中にはそうしたモラルが低い方もいて……。気軽にできるからこそ、もっと気をつけてほしいなとは思います」
最近はもっぱらバラエティやYouTubeでの大食い企画への出演が多いアンジェラ。だが心の底には、フードファイター同士がしのぎを削る、競技大食いへの未練も強く残っているという。
「どうしても3、4kgのゆるい大食いの仕事が多いですが、本当は9kg超えの限界食べをしたいんですよね。私は確実に10kgを超えたという記録がないんですよ。なのでテレビでもYouTubeでもいいので、大好物の水ようかんでその記録にチャレンジしたいです。競う相手を呼んでもいいけれど『北海道で一番食べる女』という肩書きだけは死守しなきゃですね」
(撮影=三宅史郎)
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