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「もう全然食べられないけど、いいですか?」“大食いを諦めた”ジャイアント白田43歳がそれでもバラエティで愛されるワケ「最初は抵抗もあった」
posted2022/07/27 11:00
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph by
Shiro Miyake
2000年代前半、テレビ界が空前の大食いブームに沸いていた当時、数々の猛者たちがしのぎを削るなかで、圧倒的なスター性を放つ「大魔神」がいた。
ジャイアント白田こと白田信幸(43歳)。
2001年のTV番組「TVチャンピオン 全国大食い選手権」で準優勝デビュー。その5カ月後の同大会で優勝を勝ち取り、TBSの「フードバトルクラブ」では“大食い大魔神”の異名を取り、怒涛の連覇を成し遂げた。2006~07年の「元祖!大食い王決定戦」で2連覇を果たして自らの箸を置き、引退から15年が経つ今も、その名と名勝負は大食い界に強く刻まれている。
食べられる量はピーク時の“6分の1以下”に
現役時代に鍛え上げた最大12リットル超の胃袋を武器に、引退後の数年間はバラエティの大食い企画で活躍した白田。だが、現役を退いたアスリートの肉体が衰えていくように、鍛え上げられた胃袋も年々しぼんでいったという。
「世間的には大会もバラエティも同じ『大食い』のくくりで見られがちですけど、僕にとっては全くの別物なんですよね。胃のトレーニングをするのは本気で戦う大会のためであって、バラエティのためだけにするものではない。だからどんどん胃袋が小さくなっていくわけです。
『8キロだったら受けるよ』『6キロだったら受けるよ』って言っていたのが、いつの間にか2キロまで減っていて。いやこれ全く需要ないじゃん!って思ったんですけれど……(笑)」
そう苦笑いする白田。12.5キロの食べ物を飲み込む胃袋は身を削るような食トレがあってこそ。大食いタレントではなく、“大食い競技”の一アスリートと捉えれば、現役引退とともに激しいトレーニングから身を引く判断はうなずける。
白田が“大食いを諦めた日”
とはいえ、大食いができない元フードファイターにバラエティでの居場所はあるのだろうか。そんな白田の予想は、現場スタッフの思いがけない反応によって覆された。
「何年か前に、全盛期に30杯近く食べていたラーメンを、今ガチで食べたら何杯いけるのかという企画のオファーをもらったんです。こっちも久しぶりに『やってやるぜ』と燃えて挑んだら、5杯半くらいで箸がピタリと止まってしまって。ああやってしまった、ほんと申し訳ないことをしたと思っていたら、スタッフさんたちが『いや逆によかった』とゲラゲラ笑ってるんですよ。
その時にもう無理しなくていいのかなと思ったんですよね。それ以降は『もうこれ以上の大食いはできません』と伝えて、たまーに条件の合うオファーがあれば受けるというくらいのテンションです。量食べる仕事はほぼほぼ断ってるし、積極的に受けているわけではないんですよ」