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「藤井(聡太)さんとのタイトル戦が実現できて…」羽生善治九段が“100期挑戦” 王将戦に見る天才伝説、52歳の自然体な将棋と生活 

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田丸昇

田丸昇Noboru Tamaru

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posted2022/11/28 11:01

「藤井(聡太)さんとのタイトル戦が実現できて…」羽生善治九段が“100期挑戦” 王将戦に見る天才伝説、52歳の自然体な将棋と生活<Number Web> photograph by JIJI PRESS

王将戦、藤井聡太五冠への挑戦が決まった羽生善治九段

 羽生と藤井の年齢差は32歳。1994年の名人戦で米長邦雄名人に羽生善治棋聖が挑戦したときの27歳差を上回った。

 羽生は終局後の記者会見で次のように語った。

「藤井さんとのタイトル戦を望んでいましたが、自身の結果がこれまで伴わなかったので、何とか実現できてうれしいです。タイトル獲得100期については、自身の実力を上げることを最優先にしてきたので、特段に意識していません。今年度はいままでの指し方とは、ちょっと違うことをやっていく気持ちで臨んでいます。それがいい方向に進んでいるのかなと思います。年明けから始まる王将戦では、多くの人たちに楽しんでもらえるような将棋を指したいです」

初対局で“藤井将棋”を絶賛した日

 記者会見のネット中継を見た視聴者からは、「羽生さんの受け答えは真摯で丁寧です」「王将戦リーグで全勝は素晴らしい」「心が折れずにここまでやってこれたのは、やはり不世出の偉人ですね」「羽生さんの和服姿を久しぶりに見られてうれしい」「どっちにも負けてほしくない夢のタイトル戦です」などのコメントが寄せられた。羽生の人気の高さがうかがえる。

 藤井王将に羽生九段が挑戦する第72期王将戦七番勝負は、第1局が2023年1月8日、9日に静岡県掛川市の掛川城で行われる。第2局以降は全国各地の対局場を転戦する。

 藤井と羽生の公式戦初対局は、2018年2月17日の朝日杯将棋オープン戦の準決勝。藤井五段は羽生竜王に勝ち、決勝の対局も勝って初優勝した。敗れた羽生は「落ち着いた指し回しで、形の認識度の高さを感じました」と、藤井将棋を絶賛した。

 2020年9月22日に藤井二冠と羽生九段は王将戦リーグで対戦した。羽生は得意の横歩取りの戦型に誘導し、中盤で金取りに打った△4八歩が「羽生マジック」を彷彿させる好手。終盤の寄せ合いでその手が生き、一気の詰め手順で藤井に勝った。全盛期のような強さを見せた。その一局が羽生の唯一の勝利だった。

羽生は2022年度、勝率6割を大きく超える

 藤井と羽生の対戦成績は、藤井が6勝1敗と大きく勝ち越している。

 しかし、羽生はタイトル戦にこれまで137期も登場して場数を踏んでいる。来年の王将戦では、その経験が生きるだろう。

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