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「この監督じゃダメだと思うなら、協会にぶつけてくれて構わない」森保一監督が吉田麻也を呼び出した日…“歴史的番狂わせ”の1年前

posted2022/11/25 17:25

 
「この監督じゃダメだと思うなら、協会にぶつけてくれて構わない」森保一監督が吉田麻也を呼び出した日…“歴史的番狂わせ”の1年前<Number Web> photograph by Getty Images

“歴史的番狂わせ”…海外メディアに称賛された森保一監督の采配。その7カ月前に森保監督が語っていたこととは?

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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Getty Images

日本代表が優勝4回を誇るドイツ代表を2-1で撃破した“大番狂わせ”。海外メディアも絶賛する森保一監督の采配。「ドイツ、スペインにも勝ちにいく」7カ月前にW杯組み合わせ抽選会を終えたあと、“勝負師”森保監督が語っていたこととは?【全2回の1回目/#2へ】 (Number1050号2022年5月6日発売から特別公開)

◆◆◆

7カ月前に語った「ドイツ、スペインにも勝ちにいく」

<W杯アジア最終予選序盤、2度も屈辱を味わった。それでも7大会連続となるW杯出場権を勝ち取った。多くの批判にも晒された中、曲げなかったものとは何か。本大会で欧州の2つの大国と対峙することが決まった今、指揮官が思い描くベスト8進出へのシナリオを訊く。>

 森保一の表情が一瞬、ほころんだように見えた。

「ここに入りそうだな」

 カタールワールドカップの組み合わせ抽選会。第1ポットのスペイン、第2ポットのドイツが入ったグループEに「JAPAN」の名が呼ばれると、心でつぶやいたとおりの展開に思わず興奮がのぞいた。

 優勝候補に挙がる欧州の列強2カ国との同居はすなわちノックアウトステージ進出の確率を下げることを意味する。顔をこわばらせてもおかしくなかったが、日本人指揮官の反応は真逆に近かった。

「ワールドカップに出てくる国は強豪ぞろい。どこであってもそんなに変わりはないとは思います。ただ世界のトップ・オブ・トップとやってみたいとは考えていました。なぜなら日本サッカー協会には2050年までにワールドカップで優勝するという目標があるからです。我々が今回ベスト8以上と言っているのも、その位置にいないと優勝のチャンスが巡ってこない。優勝経験のあるスペイン、ドイツにも勝っていく、勝ち点を挙げていく。そうでなければベスト8以上も2050年までの優勝もかなわなくなってくる。その意味でも“最高のグループ”だと捉えています」

「あれは私のミスなんです」

 強がりでも何でもない。虚勢を張る人でもない。後がない状態で勝ち抜いたアジア最終予選の戦いがチームの可能性を高めたと感じたからにほかならない。

 これからを語るには、これまでを知る必要がある――。

「試合の勝敗は別として、(最終予選を)振り返ったときに改善点はあるものの、最初のオマーン戦以外はそんなに悪くなかったと思っているんです。試合の流れも、試合に向けたモチベーションも。あのサウジアラビア戦もそうでした」

【次ページ】 「あれは私のミスなんです」

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