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W杯落選後、原口元気は優しい笑顔で語っていた…「彼らの失敗を願うようなことはしたくない」「リスペクトできる仲間」日本代表へのエール 

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2022/11/26 11:01

W杯落選後、原口元気は優しい笑顔で語っていた…「彼らの失敗を願うようなことはしたくない」「リスペクトできる仲間」日本代表へのエール<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

W杯メンバーに落選こそしたが、原口元気は戦友たちにエールを送っていた

 スタメンで起用された試合もある。好プレーでチームの勝ち点に貢献した試合もある。あと少しで答えが掴めそうだ。でも、完全に納得のいく答えは、まだ見つかっていない。

 原口が意識しているバランスが、「チームのために」へ傾きすぎていたのかもしれない。「自分」と「チーム」との関係性を、見つめ直すべきときなのだろう。

 だから原口は、W杯による中断期間を最大限に生かすつもりだ。

「この先、自分の居場所を作っていくためには、新しい自分を見せていかなきゃいけない。現状のまま停滞していたら居場所がなくなってしまう。常に自分自身をアップデートして、守りに入らないようにしないと。31歳ですが、この先もドンドン新しいものを見せられるぐらいの選手じゃないと、やっていけないと思う」

いまのままやっていても自分自身が楽しくない

 危機感と覚悟。それだけではない。原点回帰の意識もある。自分の強みは何だったのか。自分は、なぜサッカーをやっているのか。自問自答を繰り返す。何度も、何度も。

「クラブでポジションを奪い返すとか、もう一度日本代表に選ばれるとかも大事ですけど、やっぱり自分自身がワクワクしないとやっていけない。今後も自分がワクワクするような自分を作っていきたいなと思います」

 どんな自分でありたいのか。どんな自分になりたいのか。どんな自分をイメージしたらワクワクできるのか。「アイディアは何個か持っている」そうだ。

 その一つが肉体改造である。

「ここ7、8年で、これだけ時間が空くっていうことがなかったので、少し体を大きくして、そこから出力を上げるようなトレーニングをする。自分の体を変えてみようかなっていう意識はある。あとは個人的に新しい武器も作りたいので、セットプレーの練習をするとか、もう1回ドリブルの精度を上げるとか、1対1を磨くとか。やれることはある。

 たぶん、いまのままやっていても自分自身が楽しくない。やっぱり自分に新しい何かを作っていきたいっていう気持ちがあります」

 新しい自分への確かなイメージがある。チームはオフに入るが、原口はガッツリと休むつもりはない。「ほぼ毎日トレーニングすると思います」と気合十分だ。

「リラックスとトレーニングを両立して、W杯を見て。難しさもあると思いますが、覚悟を決めて、新しいチャレンジを楽しみながら、次に向かっていけたらいいかなって」

彼らの失敗を願うようなことはしたくない

 そんな原口に、W杯へ臨む日本代表への思いを聞いてみた。言葉にするのが難しいのはわかる。答えづらいのも理解できる。原口は少し困った様子を見せたが、それでもすぐに言葉をまとめて、丁寧にメッセージを送ってくれた。

「リスペクトできる仲間たちです。だから、彼らの失敗を願うようなことはしたくない。一緒にアジア予選を勝って、ずっと一緒に仕事してきた選手たちなので。彼らには、良いワールドカップにしてほしいと思います。本当に……」

 そう言いながら優しく笑った。とても勇気があり、真摯で、リスペクトの思いが強い言葉だった。その思いは、きっとカタールへ届いているはずだ。

 気持ちの切り替えは、そう簡単にできるものではない。それでも原口の視線はこの先を見据えている。次の目標を探している。気力は枯れない。その目は、その心は、いまなお燃え続けている。

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