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W杯落選後、原口元気は優しい笑顔で語っていた…「彼らの失敗を願うようなことはしたくない」「リスペクトできる仲間」日本代表へのエール
posted2022/11/26 11:01
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Kiichi Matsumoto
「新しいトライをしていきたいと思う」
原口元気は、きっぱりとそう話した。
名前が呼ばれなかったカタール・ワールドカップに臨む日本代表メンバー発表の12日後、11月13日に行なわれたブンデスリーガ第15節フライブルク対ウニオン・ベルリン戦後のミックスゾーンでのことだ。
リーグ戦は、この節を最後にW杯による中断期間に入った。周囲は完全にW杯モードで、ミックスゾーンの反対側ではドイツ代表に選ばれたフライブルクの主将クリスティアン・ギュンターが、地元記者に選出の喜びと意気込みを語っていた。
原口はボランチで懸命に走り、戦ったが
試合は散々だった。
ウニオンの原口は右インサイドハーフでスタメン出場した。しかし、チームはここ最近の悪い流れを断ち切れず、開始4分にPKから失点してしまう。さらに6分に中盤でのパスミスから高速カウンターを受けて連続失点。何とか立て直そうとするものの、19分にはCBディオゴ・レイテがペナルティーエリア内へ侵入した堂安律を倒して一発退場。2本目のPKを決められて点差は3点に……。呆然とするウニオン。前半終了間際には、またしても堂安の見事なアシストからミヒャエル・グレゴリッチに決められ、前半だけで0-4という絶望的な展開となった。
原口は、10人になってからはボランチへポジションを移し、懸命に走り、戦った。だが、4点差、数的不利という状況に加え、パスワークの精度がブンデスリーガトップレベルのフライブルクが相手。無理に攻めずにゲームをコントロールする方向へ切り替えられると、さすがにやれることは限られてしまう。
60分、途中交代でピッチを去った。きゅっと唇を噛んで、それでもすぐに気持ちを落ち着けたのだろう。控えの仲間たちと並び、ベンチから戦況を見守った。だからといって、納得しているはずはないだろう。
新しいものを見せていかないと、この世界に居場所はない
「新しいトライをしていきたい」
冒頭の言葉は、そんな試合後のタイミングで発せられたものだ。その表情に、悲壮感は感じられなかった。淡々としながらも、力が宿る言葉を紡ぎ出した。
「せっかくね、ここまでこぎつけて(ウニオンは一時首位に立つなど序盤は好調だった)、最後にスタメンで出て気持ちよく勝ってという思いでした。思えば、うまくいかなかった前半戦だったな、と。この悔しさは来年に繋げるしかない。こういう流れも含めて自分の実力なので。新しい年がくるし、新しいトライをしていきたい。やっぱり、新しいものを見せていかないと、この世界に居場所はないですから。自分をアップデートし、後半戦に向けて違う自分を見せていきたいと思います」