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「イチローから学べることはたくさんある」メジャー新人王・ロドリゲス21歳が語っていた…”師匠イチロー”との毎朝のキャッチボール学習
text by
ブラッド・レフトンBrad Lefton
photograph byNanae Suzuki
posted2022/11/21 06:16
今シーズン前、マリナーズのスプリングキャンプで毎日キャッチボールをかわしていたイチローとフリオ・ロドリゲス(左)
「送球には集中力が不可欠。だから、その辺りのことをよく聞いています。ただボールを投げるのではなく、足の位置や腕の振り、手首や指の使い方など、あらゆることを考えないといけない」
そう言うと、今年のキャンプで教わったばかりのコツを少し披露してくれた。
「送球するとき、どこに的を置くかが重要です。相手がより受け取りやすいような的の置き方がある。それを教えてもらいました。あるいは悪送球したとき、次はどうすれば逸らさずに投げられるか。肩を開かないようにと教えてもらった」
日米で28年もプレーしたイチローが、溢れるほどの知識でロドリゲスの疑問に答えることに驚きはない。しかし、シーズンイン直前に27歳も年上のイチローに練習相手が務まるのだろうか。ロドリゲスは微笑みを浮かべながら明かした。
「まったく問題ないですね。いまも大砲のような肩が生きているし、狙ったところにピタリとボールが来る。ふつう48歳にそんなことができるとは思えないけど、イチローの肩は30歳代の選手より強い。20歳代の選手といい勝負なんです」
継続すること、真面目に明るく取り組むこと。ロドリゲスはイチローに共感することが多いと言う。昨夏の東京五輪で銅メダルを獲得し、今季はついにマリナーズの開幕ロースター入りが決定した。最高のお手本を得た21歳の開花は目前だ。
「子供の頃からイチローは憧れの存在です。彼はドミニカでも有名で、友達とファミコンをやるとき、ぼくはいつもイチローが入ったチームを選んでいました。だから2年前のキャンプのある日、ケージで打っている姿を初めて見かけたときは本当に興奮しました。あれだけ活躍した選手ですから、正直、とっつきにくいだろうと勝手に想像していたけれど、実際にはフレンドリーでとてもいい人。一緒に写真も撮ってもらいました。今も大好きで、この状況にいつも感謝しているんです」
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