アリゾナ州ピオリアのキャンプ地で、外野陣の中に入ったイチローがキャッチボールをしている。20年ほど続くお馴染みの場面に、以前と異なる点がひとつあった。センター方向の深い位置へだんだんと下がり、投げる距離を決めているのが、イチローではないのだ。コーチを務めるイチローはその反対側、ファウルライン上から動かない。
ではイチローのパートナーは? ドミニカ共和国出身のフリオ・ロドリゲス。メジャーデビュー前だが、今季屈指の有望株として期待されている21歳である。
マイク・キャメロンやフランクリン・グティエレスら何人ものOB外野手がコーチとしてキャンプに参加するなか、現役選手と毎朝キャッチボールをするのはイチローだけ。ロドリゲスはイチローと組むようになった経緯をこう説明する。
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photograph by Nanae Suzuki