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スピードスケートの女王・高木美帆はなぜ“コーチとのマンツーマン”を選んだのか? 独自路線の裏にあった「挑戦者魂」の中身

posted2022/11/17 06:01

 
スピードスケートの女王・高木美帆はなぜ“コーチとのマンツーマン”を選んだのか? 独自路線の裏にあった「挑戦者魂」の中身<Number Web> photograph by JIJI PRESS

1000mで獲得した金メダル。'18年の平昌五輪では小平奈緒と共に表彰台に立った思い出深い種目だ

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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JIJI PRESS

 今年2月の北京五輪で金メダル1個、銀メダル3個を手にし冬季五輪1大会での日本人最多メダルを獲得した高木美帆(日体大職員)が、ナショナルチームを離れて挑んだ最初の大会で好スタートを切った。

 スピードスケートの国内開幕戦である全日本距離別選手権が10月下旬に長野市のエムウェーブで開催され、高木は女子4種目に出場。初日の1500mで7連覇を飾ると、2日目の3000mでは通算6度目の優勝。最終日の1000mでは6連覇を達成し、3冠に輝いた。2日目の500mこそ優勝に届かなかったが、このレースが現役ラストだった小平奈緒に次ぐ2位。全体を通じて圧巻の滑りだった。

 ただ、大会を終えた直後は渋い表情だった。世界記録を持つ1500mで自身の大会記録を1秒25も更新する1分53秒34をマークして周囲をうならせたものの、北京五輪で金メダルに輝いた1000mでは自身の大会記録に0秒42及ばなかったからだ。裏を返せば、とてつもなく高い目標があるからこそと言える。

実は、新しいものに手を出すのが苦手なタイプ

 北京五輪後、ナショナルチーム時代に世界の頂点へと導いてくれた恩師のヨハン・デビットコーチとともに「チーム美帆」を結成し、新体制で挑んだ。選手1人、コーチ1人のマンツーマン体制は自由度が増す半面、競い合う仲間がいない分、モチベーションを保つのが難しい。それでも「1人でやるからこそ得る発見もある」と話す様子は溌溂としている。

 実は、素顔の高木は中3で'10年バンクーバー五輪に出場した頃から保守的な性格で、新しいものに手を出すのが苦手なタイプ。そんな彼女がナショナルチームを離れて独自路線を選んだのは、既に足を踏み入れている世界トップの領域の、そのまた上を目指すためには、違う刺激を得る必要があると考えたからだろう。

「何があったとしても、自分が目指すものは『過去の自分よりも速くありたい』ということ。そこは変わらずにある」と言葉に力を込める。

 今季は11月11日にワールドカップが開幕し、その後はコロナ禍前と同じように海外を転戦する。金を獲っても世界記録を樹立しても挑戦者魂を失わず、「自分のベストタイムを越えるのが楽しみ」と目を輝かせるスーパーウーマンにエールを送りたい。

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