高卒プロの選択肢もあったが、早い段階から当時の監督から目に止めてもらっていたこともあり、吉田は青山学院大学に進学する。自身の中で背が小さいことが心のどこかでネックになっていたのかもしれないが、東監督はこの選択がさらなる成長を後押しすると感じていた。

　青学大では1年春から4番を打ち、指名打者としてベストナインに選ばれた。2年には大学日本代表にも選出され、すぐに世代を牽引する存在になった。

「青学に行ってからもグラウンドに挨拶に来て、ティー打撃をやったことがあったのですが、ティーを上げていくうちにこっちが怖くなるほどスイングが速かったんです。大学でも、さらに成長していることがよく分かりました。

　プロの世界では『よく打つけど、身長が……』とか言われることがあるじゃないですか。でもあんまり関係ないですよね、吉田の場合は。当時にプロのキャンプを見学したことがあったのですが、フリーバッティングだけをみたら吉田もやれるんじゃないかって思うことが何度もありましたから」

　高校と大学時代ではほとんどケガをしたことがなかったが、プロ1、2年目はケガなどもありシーズン途中出場が多かった。

「それだけプロの練習がハードだからだと思いますが、練習から張り切ってしまったんでしょうね。高校の時から野球で上を目指す意志が強かった。能力だけではなく、そういう志の高さも、今の地位を作っていると思います」

　自らのストロングポイントを伸ばし、最高峰の舞台で結果を出し続ける教え子を今も誇らしく見守っている。

「私が語れるような選手じゃなくなった」

　日本一を達成した吉田は、すでにメジャー挑戦を表明した。

「（日本シリーズの吉田の活躍は）もう、すごいの一言ですよね。むしろ（吉田は）違う次元に入ってきていますね。私が語れるような選手じゃなくなってきました。どれだけアメリカでやれるのかは見てみたい。また僕らが驚くようなプレーを見せてくれるのではないかと思っています」

　ポテンシャルを見抜いた恩師の想像を遥かに超える成長曲線。海の向こうでもきっと規格外のプレーを披露してくれるはずだ。東監督はそう確信している。

（#2山崎颯一郎編へつづく）

#2に続く

高校時代の評価は「ゼロか100」“不器用な長身エース”が160キロ豪速球を投げるまで…山崎颯一郎の恩師「オリックスで良かった」

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