スタニングローズの類まれな「安定感」

「走る能力の高さは言うまでもありませんが、これほどドッシリした3歳牝馬がいるのかと思うほど、アテにできる安定感でしょうね。カイバはしっかり食べてくれるし、競馬場へ連れて行ったときの、出張厩舎での仕草が本当にいい。じっと落ち着き払ってレースを待つ姿は見惚れるほどです」

　高野厩舎は、秋華賞2着のナミュール（牝3歳、父ハービンジャー、母サンブルエミューズ）もこの一戦へ同時に送り出す。鞍上には、チューリップ賞勝ちから5戦連続で関東リーディングの横山武史騎手がおさまる。

秋華賞で僚馬スタニングローズの後塵を拝したナミュールだが、ポテンシャルではまったく見劣りしない　©Photostud

「ポテンシャルは本当に高い」と、高野師はまずそこを一番に強調したが、僚馬スタニングローズとの対比で「普段から落ち着いていられないのがこちら。秋華賞のプラス20kgの馬体重はまったく太くはなく、もっと増えてほしいぐらいです。レースでは概ね上手に走れていましたが、少しだけ左にもたれて走っていたのがスタニングとの僅かな差につながった。4コーナーではっきりと外に膨らんだ分の2着でしたね」と、全能力を出し切れていないもどかしい思いも隠そうとしなかった。

「13冠ベビー」大器ジェラルディーナも完成型に

オールカマーで牡馬の一線級やデアリングタクトを撃破した良血馬ジェラルディーナ　©Photostud

　ジェラルディーナ（牝4歳、父モーリス、母ジェンティルドンナ、栗東・斉藤崇史厩舎）は、生まれてくる前から「13冠ベビー」と注目された超良血馬だ。父がGIを6勝、母は7勝。どれほど凄い馬が出てくるのかと大きな期待を集めたのは当然の流れだったが、秋華賞の日に3勝クラスを勝ってようやくオープンに上がるという遅咲き。しかし、石坂正調教師の定年から3歳春にこの馬を引き継いで丁寧に管理してきた斉藤師は、「うちに来てから少しずつ気性が成長して、いまがまさに完成型。折り合いが自在につくようになって、しまいにスパッと切れる脚を残せるようになりました。前走のオールカマー（中山芝2200m、GII）がまさにそれを実証した内容。初めての重賞勝ちですが、GIで勝負できるだけの馬になったと思います」と、力強いコメント。鞍上には、短期免許で来日中のクリスチャン・デムーロ騎手。いよいよ血統通りの評価が必要になったようだ。

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