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“最強牝馬決定戦”エリザベス女王杯を制するのはどの馬か? 古馬との初対戦に臨むスタニングローズ陣営の自信「経験の差はある。ただ…」
text by
片山良三Ryozo Katayama
photograph byJIJI PRESS
posted2022/11/12 06:00
スタニングローズに騎乗する25歳の坂井瑠星は秋華賞でGI初勝利。今年はキャリアハイを大きく更新する83勝(11月11日時点)をあげている
不屈の三冠牝馬デアリングタクトの復権は…
修羅場をくぐり抜けてきた古馬といえば、無敗の三冠牝馬となったあと、アーモンドアイ、コントレイルと戦ってきたデアリングタクト(牝5歳、父エピファネイア、母デアリングバード、栗東・杉山晴紀厩舎)が断然の筆頭格。香港遠征(クイーンエリザベスII世カップ3着)のあと、右前脚に繋靭帯炎を負ったが、今春の宝塚記念では驚きの3着追い上げを見せた。秋初戦のオールカマーでは6着と伸び悩んでファンを失望させたが、杉山師は前を向き続けている。「苦しいところでも決して諦めない精神力は競走馬として一番大事なものです。デアリングタクトがそれを持ち続けているのだから、人間が先に音を上げるわけにはいきません」。復活の舞台がエリザベス女王杯なら、まさに相応しいと言える。手綱を取るのはもちろん松山弘平騎手だ。
イズジョーノキセキ(牝5歳、父エピファネイア、母キングダンサー、栗東・石坂公一厩舎)は、昨年も条件馬の身の上でエリザベス女王杯に挑戦して5着に健闘。今年は府中牝馬Sでソダシを差し切って、優先出走権を獲得しての堂々の登場だ。岩田康誠騎手(※騎乗停止のためC・ルメール騎手に乗り替わり)は長く使える末脚に自信を持っており、狙いはイン。本番でも内枠を引き当てるようなら金星があるかも。
愛オークス馬マジカルラグーンも侮れない
昨年の覇者アカイイト(牝5歳、父キズナ、栗東・中竹和也厩舎)は、近況から人気薄だろうが、昨年も10番人気での末脚一閃。この時期に調子を上げる怖さはある。昨年に続き、幸英明騎手が騎乗する。
桜花賞5着、オークス4着のピンハイ(牝3歳、父ミッキーアイル、栗東・田中克典厩舎)は、川田将雅騎手とのコンビで下剋上を狙う。「この馬が持っている身体能力の高さ。来年あたりは適性がマイルに寄って行きそうですが、いまなら2200mでも最後の伸びが期待できるはずです」と、田中師は本気だ。
コロナ禍が落ち着いたことで、11年ぶりに外国馬の参戦がかなったのも大きな話題。アイリッシュオークス優勝など7戦3勝の戦績を持つマジカルラグーン(牝3歳、父ガリレオ、愛国J・ハリントン厩舎)がその馬で、アイルランドからS・フォーリー騎手が帯同してやってくる。輸入種牡馬ノヴェリストの半妹にあたる良血馬だ。褒賞金対象の指定競走を勝ってきているので、1着なら70万米ドル(日本円約1億500万円)、2、3着でも28万米ドル、17万5000米ドルが交付される。11年前はスノーフェアリーに鮮やかに優勝をさらわれているだけに、日本馬が強くなっているとは言っても、馬券的な警戒は依然怠れないところだろう。