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“最強牝馬決定戦”エリザベス女王杯を制するのはどの馬か? 古馬との初対戦に臨むスタニングローズ陣営の自信「経験の差はある。ただ…」

posted2022/11/12 06:00

 
“最強牝馬決定戦”エリザベス女王杯を制するのはどの馬か? 古馬との初対戦に臨むスタニングローズ陣営の自信「経験の差はある。ただ…」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

スタニングローズに騎乗する25歳の坂井瑠星は秋華賞でGI初勝利。今年はキャリアハイを大きく更新する83勝(11月11日時点)をあげている

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片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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JIJI PRESS

薔薇一族の孝行娘に、開花を待つ未完の大器。金星を狙う伏兵に、豪脚復活を期す三冠牝馬。多彩な顔触れが揃う最強牝馬決定戦を読む。2022年11月4日発売のNumber1062号に掲載された『[エリザベス女王杯プレビュー]最強の花を咲かせるのは誰か。』を特別に無料公開します。※肩書きなどは全て掲載時

 '75年にエリザベス女王が来日したことを記念して、翌'76年からスタートしたのがエリザベス女王杯だ。前身は3歳牝馬三冠の最終戦の位置付けとして京都競馬場の芝2400mで争われていたビクトリアカップ。競走条件はそれを丸呑みに引き継ぐ形になったが、回次は新たに第1回とされたところに英国王室に対する絶大なリスペクトを汲むことができる。'96年に競走体系の見直しが行われ、秋華賞が3歳牝馬限定として新設されたことを契機として、エリザベス女王杯の出走条件が「3歳以上牝馬」に発展的に拡大。これによって全世代の一線級牝馬による、文字通りの女王決定戦としてさらに存在感が増した。また、舞台設定も京都の2200mに変更されている。

 京都競馬場が大規模工事期間に入っている影響で、47回目の開催を迎えた今年も3年連続での阪神競馬場の芝2200mでの施行。とはいえ、実力勝負の舞台に変わりはない。本来なら今年は「エリザベス女王即位70年記念」の副題を付しての開催が予定されていたが、9月8日にエリザベス女王が崩御したことに伴い、副題付与は取りやめとなっている。

秋華賞を前に坂井瑠星が「勝ちます」と宣言

 秋華賞馬となったスタニングローズ(牝3歳、父キングカメハメハ、母ローザブランカ、栗東・高野友和厩舎)が、古馬との初対戦をこの大一番で迎える。高野師が、「ここに出てくる古馬は、数々の修羅場をくぐり抜けてきた、言わば百戦錬磨ばかり。うちのスタニングローズも3歳馬離れした精神面の安定感を大きな武器の一つとしていますが、経験の差はどうしたって認めざるを得ません。ただ、そこは4歳以上に対する3歳馬2kg減の斤量差が頼れる材料。互角に戦えると踏んでの挑戦です」と前向きな戦力比較を披露してくれた。

 秋華賞は、デビュー7年目の25歳、坂井瑠星騎手にとっても初のGI勝利。同騎手の騎乗依頼仲介を務めている競馬専門紙「優馬」の細川貴之トラックマンが「勝ちます。しっかり見ていてください」と、力強く宣言していたことを明かしてくれた。「いままでになかったことなので意外でしたが、その通りになって瑠星を見上げる思いでした」と相好を崩した。絆が深まる大きな1勝だったに違いない。

 坂井騎手が絶大な自信を口にできた理由を、高野師はこう分析した。

【次ページ】 スタニングローズの類まれな「安定感」

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