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ダルビッシュ有「すごく自信がついた」メジャー12年目の大活躍、36歳にして“ベストシーズン”を過ごせた理由「野球だけという感じだった」 

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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photograph byGetty Images

posted2022/10/29 17:12

ダルビッシュ有「すごく自信がついた」メジャー12年目の大活躍、36歳にして“ベストシーズン”を過ごせた理由「野球だけという感じだった」<Number Web> photograph by Getty Images

パドレスの主軸として今季通じて好調を維持したダルビッシュ

 更には、ポストシーズンでもワイルドカードシリーズ、リーグ優勝決定シリーズともに『第1戦先発』の大役を任され、公式戦と合わせキャリア最多の219回2/3を投げた。数字が物語る36歳にしてベストシーズン。ダルビッシュも一定の満足感を口にした。

「早かったですね。自分のやることに集中していて、野球だけという感じだった。チームの中での人間関係ができ、すごくいい友達がたくさんできた。いろんなことがたくさんあった年だったと思います」

 パドレス移籍2年目。チームに馴染み、生活環境も落ち着いたことが安定したパフォーマンスにつながった。

ダルビッシュ「いい環境で家族が過ごせている」

 温暖な西海岸の中でもサンディエゴの環境はベストと言える。シーズンを通して、半袖、短パンで過ごせる温暖な地でありながら、熱中症警報が出されるような高温に悩まされることもない。太平洋から吹き込む爽やかな海風と青い空のもと雨の心配もまったくない。アスリートがコンディションを整える上でこれ以上の気候環境はない。シーズン終盤、ダルビッシュにサンディエゴの環境面が与える好影響を聞くと、彼からはこんな言葉が返ってきた。

「自分がどう投げやすいかというより、家族がいて、子供たちも学校に行っていて、すごくいい教育をしていただいて、いい環境で家族が過ごせている。そういうところが、より野球に集中できていることにつながっているのかなと思いますね」

 以前、同じような言葉を聞いたことがあった。現役生活29年で日本シリーズ出場14回、日本一を11回を手にした“優勝請負人”、工藤公康氏だ。彼は西武、ダイエー(現ソフトバンク)、巨人、横浜と本拠地が変わる中で雅子夫人とともに5人の子供を育てあげた。自身が切磋琢磨する中で家族の生活環境の安定に尽力していたことを思い起こす。

 ダルビッシュもレンジャーズ(テキサス)、ドジャース(ロサンゼルス)、カブス(シカゴ)と移り住み、この夏、聖子夫人との間には第5子の男児が誕生した。働く父にとって、ましてや広大なアメリカを点々とするメジャーリーガーにとって、家族が安心して過ごせる環境面は、ことのほか大事だと感じる。

【次ページ】 ポストシーズンでは4試合に先発

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