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「俺の目標、最後まで松本さんだったなぁ…」“鉄人”の背中を追い続けた富松崇彰のバレー人生〈41歳松本慶彦は何がスゴい?〉 

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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photograph byTORAY ARROWS/BLAZERS SPORTS CLUB

posted2022/10/28 17:01

「俺の目標、最後まで松本さんだったなぁ…」“鉄人”の背中を追い続けた富松崇彰のバレー人生〈41歳松本慶彦は何がスゴい?〉<Number Web> photograph by TORAY ARROWS/BLAZERS SPORTS CLUB

昨シーズン限りで引退し、現在はスタッフとして東レアローズを支える富松崇彰さん(左、38歳)。目標としてきた松本慶彦(堺ブレイザーズ)は41歳となった今季もコートに立ち続けている

 松本は2021年2月、Vリーグの長い歴史の中でも前人未到である、通算400試合出場を果たしている。

「あの年齢でも第一線で活躍できるのはもちろん練習とかコンディショニングに気を使ってこそだとは思うんですが、いちばん感じるのは体の強さです。いわゆる“屈強”という感じではないので、一見、強そうに見えないんですけどね。軽さがあって、筋力のバランスがいいんでしょうね。強すぎると、どこかに負担がかかることもあるので、ちょうどいい筋力なんじゃないかな」 

 富松さんはこう続ける。

「松本さんの雰囲気は昔から変わらないですね。僕が日本代表に入ったときから、ああいう、いつも穏やかで飄々とした感じでした。あれから約15~16年経って、松本さんは変わらないけど、僕はすごく変わったと思います。昔、尖っていた僕が、年をとってどう変わってきたのか。松本さんはきっとずっと僕を見てきて、何か感じているんじゃないかな」

「70歳までプレーするのは勘弁してください」

 現在はサポートスタッフという肩書で働いている富松さん。

「今はときどきジュニアチームやバレーボール教室で指導もしていますが、だいたいは事務所にいて講演会の資料を作ったりと、書類と向き合う毎日です。プレーヤーとしてはベテランでしたけど、こっちでは1年目のルーキーなので、まだ手探りで、どうしたらいいか戸惑っているところですね」

 始業直後の朝一番、初々しい白ポロシャツ姿で取材に応じてくれた。では、そんな富松さんの現在の目標はなんなのだろうか。

「選手時代は自分が優勝するためにプレーして、それによって周りの人たちが喜んでくれました。今は裏方として、応援してくださる方たちに喜んでもらうのが一番の目標です。あとは、運営の仕事もしているので、試合を見てくれる人、応援してくれる人が普通に会場に来て、普通に見て、楽しかったと言ってもらえる環境を作ることですね」

 会場設営などで不備があれば、その“普通”に見ることが叶わなくなる。不快な気持ちにさせず、スムーズに試合観戦ができるかどうかは、裏方の一番の腕の見せ所だ。

 最後に、ずっと目標だったという松本慶彦に対してメッセージをもらった。

「今年も当たり前のようにたくさん試合に出て活躍すると思います。ただ、うちが対戦相手のときは、あまり頑張り過ぎなくていいですからね、アハハ。あとは70歳までプレーするのはさすがに勘弁してくださいとは本人にも言っています。だって現役、続けてそうじゃないですか(笑)。とにかく、怪我なく頑張ってほしいということだけです」

 松本が所属する堺と、東レとの今シーズン初対戦は12月3日。東レのホームである三島市民体育館で開催される。ネット越しに対峙する機会はなくなったが、今後もお互いの存在を気にしつつ、バレーボール界全体を盛り上げていく仲間であることは間違いない。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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