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「俺の目標、最後まで松本さんだったなぁ…」“鉄人”の背中を追い続けた富松崇彰のバレー人生〈41歳松本慶彦は何がスゴい?〉
posted2022/10/28 17:01
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
TORAY ARROWS/BLAZERS SPORTS CLUB
10月22日に開幕したバレーボールV.LEAGUEで、昨シーズン限りでユニフォームを脱ぎ、サポートスタッフとして開幕を迎えた人物がいる。
元東レアローズのミドルブロッカー・富松崇彰さんだ。今年5月、黒鷲旗を最後に惜しまれつつ37歳でユニフォームを脱いだ。
富松さんは東海大在学中の2006/07V・プレミアリーグに内定選手として参加し、最優秀新人賞、ブロック賞、ベスト6をトリプル受賞。2007年に日本代表入りし、同年、日本で開催されたワールドカップなどに出場し日本代表でも活躍した。
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東レでは2度のリーグ優勝と8度のベスト6とブロック賞に輝き、特に2010年からは5シーズン連続でブロック賞を受賞する快挙を達成。ブロック決定本数の日本記録保持者であり、2000年代を代表するミドルブロッカーとしてバレーボール界をけん引する存在だった。何より、その天真爛漫なプレースタイルでファンに愛されたスタープレーヤーだった。
「高橋健太郎には勝てないな」
富松さんが引退を決意したのはVリーグのシーズン途中だったという。
「僕が試合に出ていなくてもチームは勝っている。もう、そろそろかな、と……。何より『高橋健太郎には勝てないな』と思ったのが決め手でしたね。今までは自分がチームを引っ張っているんだという自負があったんですけどね……」
前年までは少しでもプレーがうまくいかないと、気持ちがコントロールできなくなり、意気消沈してしまっていた高橋だったが、昨シーズンはそれが全く感じられなかったと富松さんは振り返る。
同時に、そんな高橋ら若手のプレーを見ても「悔しい」「いやいや、まだ俺も」と思う闘争心が湧いてこなかったと決意の経緯を語ってくれた。
現役時代、思い出に残っている出来事を尋ねると「一つ選ぶとしたらVリーグの優勝ですかね」と振り返る。2度のリーグ優勝を経験したが、なかでも富松さん、米山裕太らベテラン勢が奮闘し、優勝に導いた2016/17シーズンを挙げた。
「若いときは先輩たちに引っ張ってもらって優勝したという思いがありました。でも2017年は自分たちで作ってきたチームで、優勝という結果が出たのが感慨深かった。やってきてよかったという達成感と充実感がありました」